2月17日に『JTB S/Jリーグ2018」のTOP4決勝戦が開催された。前日には準決勝が行なわれ、男子はトナミ運輸とNTT東日本がファイナルに進出。女子は再春館製薬所と日本ユニシスが決勝で激突した。ここでは、男子のTOP4決勝の結果を紹介しよう。
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【決勝戦】
S/Jリーグ3連覇をねらうトナミ運輸と、4年ぶりのリーグ制覇に挑むNTT東日本が対戦。トナミ運輸は全員が日本A代表という盤石のオーダー。対するNTT東日本も、須賀隆弘監督が「いつまでも逃げている(エース対決を避けた)オーダーでは、チームが成長しない。真っ向勝負ということで、全員で意識を合わせて臨んだ」と話したとおり、第1ダブルスとシングルスに主軸の古賀輝/齋藤太一、桃田賢斗を配し、トナミ運輸のエースにぶつけるオーダーで優勝をねらった。
カギを握る第1ダブルスは、トナミ運輸の園田啓悟/嘉村健士(写真右)が2-0で勝利を収めた。NTT東日本のエースダブルス・齋藤太一/古賀輝は、ソノカムの高速ドライブに対抗し、第1ゲームで18-18まで競り合ったが、最後は19-21で失い先行ならず。第2ゲームも日本王者の園田/嘉村に食らいつこうとしたが、13点を奪うのが精いっぱい。力の差を見せつけられた。
ねばる相手を攻略した嘉村は「NTT東日本には(シングルスで勝率の高い)桃田がいるので、トップダブルスが大事になるというプレッシャーがある。それで、始めは力んでしまいましたが、第2ゲームからは自分たちのプレーができました」と手ごたえを話した。しかし、NTT東日本にとって、齋藤/古賀が第1ゲームで見せた気迫は、間違いなくチームに勢いをもたらした。
続くシングルスに臨んだNTT東日本の桃田賢斗(写真)は「難しい試合だったと思いますが、齋藤/古賀ペアが精いっぱいトライしてくれて、その気持ちがすごく伝わった。自分もその流れで、強い気持ちを持って臨めた」と話した通り、チームメイトの奮闘をパワーに変えた。同じ94年生まれの西本拳太との対戦では、桃田が第1ゲーム中盤以降にスピードを上げてネット前に入り込み、前後の揺さぶりから主導権を掌握。21-15で先制すると、第2ゲームも西本に試合の流れを渡さず、11-2と圧倒して折り返す展開でそのまま押し切った。1月のマレーシアマスターズ(Super500)の初戦では西本が桃田に初勝利を飾ったが、今回は桃田がその雪辱に成功した。
最終決戦となった第2ダブルスは、実績に勝る日本A代表の保木卓朗/小林優吾(写真右)が、NTT東日本の星野翔平/西川裕次郎と勝負。勝てば“3連覇”という中で登場した保木/小林は、第1ゲームを21-9に抑え込む。しかし、第2ゲームは19-12とリードした場面から、5連続失点で追い上げを許す展開に。流れはNTT東日本に傾いたかと思われたが、多くの経験を持つ保木/小林は冷静だった。「ここは連続でいくつか取られるだろうけど、我慢しようと話し合って、開き直ってやれた」(小林)と、焦らずに対応。追われる立場のプレッシャーを振り払い、最後はしっかり逃げ切った保木/小林が2−0で勝利。優勝が決まると、二人は大きなガッツポーズで喜びを爆発させた。
優勝を喜ぶ荒木純監督は「最後は若い保木と小林が勝ち、全員で戦ってくれた結果。(リーグ戦とプレーオフで)TOP4に残った、ほかの3チームすべてに勝っての優勝。日本一のチームにいる、日本一の選手たちといえる大会になった」と総合力の勝利であることを強調。今季から新システムとなったS/Jリーグだが、その影響を一切感じさせない強さを見せたトナミ運輸が、堂々のリーグ3連覇を飾った。
■優勝チームコメント
荒木純監督
「会社やチームを応援してくださった方々に感謝します。2月に日本代表選手を含めてチームで合宿を行ない、結束力が高まったと思っています。勝利を求めることは当然として、企業スポーツなので会社の期待に応えながら今後も頑張って、ファンにもサービスで恩返しできるチーム、バドミントン界にしていきたいです」
嘉村健士
「エースダブルスとしての仕事を果たせたと思います。全員がよい雰囲気で練習をできていたので、全員のおかげで優勝できました。これまで、自分たちが勝てば優勝するし、負ければチームも負けるという大会が多く、団体戦で勝ちたいという気持ちは誰よりも強いと思っていたので、勝ててよかったです」
園田啓悟
「絶対に負けられないという気持ちで臨みました。チームによい流れを持ってこようと考えていましたし、勝つことができて、本当に嬉しかったです。第1ゲームは、相手の勢いがすごくてバタバタしてしまいましたが、取り切れて、第2ゲームにつながったと思います。相手に桃田選手がいるというプレッシャーの中でも、自分たちらしいプレーができた経験は、今後に生かしたいです」
▼決勝戦
トナミ運輸 2−1 NTT東日本
園田啓悟/嘉村健士②〔21−19、21−13〕0●古賀輝/齋藤太一
西本拳太●0〔15−21、11−21〕②桃田賢斗
保木卓朗/小林優吾②〔21−9、21−18〕0●星野翔平/西川裕次郎
■S/Jリーグ最終順位
優勝 トナミ運輸
2位 NTT東日本
3位 日本ユニシス
4位 日立情報通信エンジニアリング
5位 三菱自動車京都
6位 JTEKT
7位 東北マークス
8位 JR北海道
9位 金沢学院クラブ
10位 トリッキーパンダース
※トナミ運輸は3年連続9回目
取材・文/平野貴也
写真/川口洋邦