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【特別企画】JAPANの飛翔〜2018年を振り返る3<日本女子がユ杯を制し世界一!>

第3回

2018年は、日本にとって大きな飛躍の一年となりました。5月には日本女子が37年ぶりにユーバー杯を制し、世界一を達成。8月の世界選手権では、男子シングルスの桃田賢斗選手、女子ダブルスの松本麻佑/永原和可那ペアが金メダルを獲得しています。そのほか、国際大会を中心に日本勢は数多くのタイトルを手にしており、世界トップの国へと変貌しています。ここでは、成長し続ける日本代表の活躍を中心に、2018年を振り返っていきます。

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第3回

<B代表の活躍>

4月初旬には、日本で開催される国際大会・大阪インターナショナルチャレンジ(IC)が、大阪府守口市で開催された。ここでは日本B代表選手らが中心となって参戦。5種目すべてで決勝に進出を果たし、4種目で頂点に立った。男子シングルスでは、五十嵐優(写真)が奈良岡功大との決勝戦を制して2連覇を達成。女子シングルスでは、峰歩美が、国内のライバルたちを次々と下して大会初優勝を飾った。男子ダブルスは元日本代表の橋本博且/佐伯祐行、女子ダブルスは福万尚子/與猶くるみがV達成。4種目を制した日本勢が、層の厚さを示す好結果を残している。 

4月後半、A代表は中国・武漢で開催されたアジア選手権に参戦した。ここで一際目立つ結果を残したのが、男子シングルスの桃田賢斗(写真)だ。18年にA代表復帰を果たした桃田は、2回戦で全英OP王者の石宇奇(シー・ユーチー/中国)を下し、準々決勝で周天成(チョウ・ティエンチェン/台湾)を圧倒。準決勝ではリー・チョンウェイ(マレーシア)を撃破し、決勝では地元中国の諶龍(チェン・ロン)を2−0のストレートで退けて優勝を果たした。2017年7月に国際戦線に復帰した桃田にとって、この大会は世界トップランカーとの久々の実戦だったが「手応えを感じたのは長いラリーになったときのスタミナとスピードです。復活というより、進化できていると思います」と振り返り、その後の躍進となるきっかけをしっかりとその手につかんでいる。

また、男子ダブルスでは園田啓悟/嘉村健士が準優勝の成績を収め、女子ダブルスでは福島由紀/廣田彩花(写真奥)が髙橋礼華/松友美佐紀との同国決勝を制して優勝。福島/廣田は帰国後、岐阜トリッキーパンダースに移籍して新たなスタートをきっている。

<ユーバー杯で37年ぶりのV>

5月に開催された世界国・地域別対抗戦トマス杯・ユーバー杯は、日本の躍進を確信づける結果となった。注目が集まったのは日本女子。1981年に優勝を果たして以来、長らく世界一の栄光から遠ざかっていたが、この大会には“史上最強”の呼び声高いメンバーで挑む。シングルスには4月の世界ランキングで1位に輝いている山口茜と奥原希望を主軸に置き、ダブルスも2017年世界選手権銀メダルの福島由紀/廣田彩花、そして2016年リオ五輪金メダリストの髙橋礼華/松友美佐紀が名を連ねた。

予選リーグではオーストラリア、カナダ、インドを退けて3連勝を飾ると、準々決勝では、女傑・戴資穎(タイ・ツーイン)が率いる台湾を3−1で退ける。続く準決勝はライバル・韓国との対戦となったが、ここでも日本は総合力の高さで上回り、3−1で勝利。4年ぶりの決勝進出を果たしている。

優勝をかけて臨んだ決勝戦は、2013年世界女王のラチャノック・インタノンが主軸となるタイ。準決勝では3連覇中の中国を破る波乱を起こし勢いのあるタイに対し、日本はベストメンバーで挑む。第1シングルスでは山口(写真)がインタノンに2−0で退けると、続く福島/廣田も2−0で快勝。第2シングルスに登場した奥原は、タイを決勝に導いたニチャオン・ジンタポルを2−0のストレートで下し、日本が37年ぶりの世界一を達成した。「プレッシャーはすごくあったけど、そのプレッシャーをはねのける強さがチームJAPANにはありました」と振り返るのは主将の髙橋礼華。期待通りの結果を残した日本女子が、ユーバー杯を高々と掲げた。

優勝を決めて喜ぶ日本女子
37年ぶりにユーバー杯を獲得。朴柱奉監督は「タイ戦は地元の応援団が多いので少し心配していた。でも、そのプレッシャーに選手が対応していた」と決勝を振り返った

<男子は4年ぶりの決勝進出>

女子の活躍が目立つ一方で、4年ぶり2度目の優勝をめざした日本男子も、ライバル国を退けて決勝に進出していた。戦前は総合力の部分で他国に見劣る部分もあったが、実際に大会が始まると、予選リーグで香港、ドイツ、台湾に3連勝。予選リーグ1位通過で臨んだ準々決勝・フランス戦も3−1で下し、準決勝では前回王者・デンマークと対戦。世界ランキングから見るとデンマーク優勢かと思われたが、ここでシングルス勢が奮起。桃田が17年世界王者のビクター・アクセルセンを下すと、第2シングルスの西本拳太も、前回優勝の立役者だったH・K・ヴィテンフスを2−0で退ける。すると、2−2で回った第3シングルスに登場した常山幹太(写真)が、ヤン・O・ヨルゲンセンをストレートで振り切り決勝進出を果たした。

決勝戦で激突した中国には、1−3で敗れた日本男子。それでも、桃田が第1シングルスを制し、第2ダブルスに起用されたサプライズペア・園田啓悟(写真右)/渡辺勇大も善戦を見せるなど、可能性を感じさせる戦いぶりだった。日本は男女が決勝進出を果たし、さらなる手応えと自信を持って次なる戦いへと挑んでいった。

優勝した2014年以来、2度目の決勝進出を果たした日本男子。準優勝に終わったが、強豪に競り勝って手にした価値ある結果だった

文/バドミントン・マガジン編集部

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