12月27日、奥原希望が東京都内のホテルにて、プロ転向記者会見を行なった。2020年の東京オリンピックで金メダル獲得をめざすにあたり、「個人活動に専念したい」というのがプロ転向の決め手となったという奥原。会見には、奥原とともに、2019年1月から奥原のプロ活動をサポートする太陽ホールディングス株式会社の佐藤英志代表取締役社長が同席し、今回の契約にいたった経緯も語った。奥原、佐藤社長のコメントは以下の通り。
▽奥原希望コメント(抜粋)
「この度、私、奥原希望はプロに転向することを決意し、来年1月から、太陽ホールディングス株式会社様のご支援の下、活動することになりました。リオデジャネイロ・オリンピックが終わってから、東京オリンピックのことを考えたときに、海外の試合に専念することはできないかと考えはじめました。現在、日本代表の活動日数は250日を超えます。そのうえに、国内の試合に出場するとなると、ケガの多い私にとって、とてもリスクが大きくなります。また、今年1年間、試合を戦ってみて、休息をとる時間や練習を積む時間が取れず、コンディションを維持することが精いっぱいという状況でした。
東京オリンピックに、すべての準備をして臨みたいというこの気持ちを、どうしたらいいのか。その答えが、プロとして個人の活動に専念することでした。高校卒業してから6年間、たくさんのケガをしても、変わらずサポートし続けてくださった日本ユニシスには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。選手思いのスタッフの指導、偉大な先輩たちから学ぶことも多く、本当に、いま私がここにいるのは日本ユニシスに入ったからだと思っています。そして今回、私のこの決断を理解し、尊重してくださった日本バドミントン協会、所属先の日本ユニシス、そしてこれから支援してくださる太陽ホールディングス、その他関係者の皆様にも重ねて感謝申し上げます。
私自身、望んでいた個人の活動に専念できる環境が整い、ワクワクしている気持ちがあると同時に、このような形でプロとして活動することは前例がなく、不安な気持ちもあります。しかし、私自身が東京オリンピックまでやることは変わりません。新しいスポンサーさんの名前を背負う責任と決意を新たに、いままで通り、たくさんの方々の力をお借りして、これからも私らしく全力で頑張っていきたいと思っています」
▽太陽ホールディングス 佐藤英志・代表取締役社長コメント(抜粋)
「われわれ太陽ホールディングスは、東証一部に上場している化学品メーカーであり、エレクトロニクス用の材料、医薬品の製造販売を行なっています。代表的な製品としては、ソルダーレジストというスマートフォンやパソコンの中にある基盤を作っており、そのソルダーレジストにおいては、世界でナンバーワンのシェアを誇っています。太陽ホールディングスは60年前の創業から技術を大事にし、そうした技術からソルダーレジストを生み出し、これを世界に展開、世界でナンバーワンのシェアを獲得するまでになりました。奥原選手もまた、この小さな体で、自らの技を磨いて、世界ナンバーワンを目指す挑戦をされている。その姿というのは、まさに太陽ホールディングスの歴史そのものです。われわれもたくさんの支援をいただいてここまでやってまいりましたので、今回は奥原選手を支援するという提案をさせていただき、今回の契約に至った次第です」
また会見での質疑応答では、1月から、奥原がNTT東日本男子バドミントン部のシングルスコーチである佐藤翔治氏の指導を受けることも明らかになった。佐藤コーチはNTT東日本のコーチを務める傍ら、奥原のプレーや戦術面でのアドバイスを行なうことになるという。
佐藤コーチに指導を仰ぐことについて、奥原は「リオデジャネイロ五輪前にA代表に戻って、佐藤コーチとやってきた中で自分が強くなっていったのを実感していましたし、佐藤コーチにいろんなプレー面でのアイディアをもらうことが多かった」と話し、「東京オリンピックまで世界で戦っていくにあたって、佐藤コーチの指導が私にとってすごく心強いサポートになると思った」と厚い信頼を寄せている。
また、今後のスケジュール的には日本代表の活動をメインに、海外の大会を転戦することになるが、全日本総合には出場の意向も明らかにしている。その際の所属は、今回契約に至った太陽ホールディングスとなる。なお、契約期間が2年であることもあわせて発表された。
■お詫びと訂正
バドミントン・マガジン1月号(12月22日発売)別冊付録「バドマガ・オリジナル2019卓上カレンダー」にある奥原希望選手(3月)の所属先が「日本ユニシス」となっておりますが、本記事にありますように、2019年1月1日以降は「太陽ホールディングス」が正しい所属先となります。カレンダー作業の終了後に所属先の変更が明らかになり、反映することができませんでした。ここに訂正し、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます(バドミントン・マガジン編集部)。
取材・構成/田辺由紀子
写真/川口洋邦