バドミントンの年間王者を決めるBWFワールドツアーファイナルズ(中国・広州)が開幕した。各種目8名・ペアが2つのグループに分かれて予選リーグを戦い、上位2名・ペアが決勝トーナメントに進出。2018年のワールドツアーの頂点を争う。大会初日は全種目の予選リーグ・第1戦が行なわれた。ここでは日本の男女シングルスの活躍を紹介しよう。
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今大会の男女シングルスに出場する日本勢は、男子が世界選手権優勝の桃田賢斗(写真)、そして女子がワールドツアーランキング2位の奥原希望と、3位の山口茜。3名とも過去にファイナル制覇を経験しており、2回目の優勝に挑んだ。
初戦でしっかり白星で飾ったのは桃田と奥原。桃田は、WTランク7位のサミール・バラマ(インド)を圧倒。第1ゲームこそコートや相手の感触を確かめながら戦い、21−18というスコアだったが、第2ゲームは相手に6得点しか許さなかった。奥原は、カナダのミシェル・リー(WTランク8位)を相手に、攻め急がずじっくりとラリーを展開。21−18で第1ゲームを取った後、第2ゲームはデュースにもつれ込んだが、冷静に対応してストレート勝ちを収めた。スコアは接近していたが、コートでは余裕を持った戦いぶりだった。
2連覇をねらう山口(WTランク3位)は、無念の黒星スタートとなった。
初戦の相手は、長身のプサルラ・V.シンドゥ(インド・WTランク6位)。第1ゲームは、山口がねばり強いラリーでチャンスをつかみ、11−6とリードを保ちながら試合を進める。しかし、シンドゥも無理には攻めず、我慢強いラリーを展開すると、18-13とリードしていた山口がミスを連発。手足の長さを生かしたシンドゥの鋭い返球に苦戦し、デュースに持ち込まれた。
なんとか第1ゲームを先制したい山口は、ねばり強くシャトルを追いかける。22−21の場面では飛び込みレシーブなどで必死に食らいつき、ドロップで作ったチャンスにはクロススマッシュを一閃。ライン際に落ちたショットは決まったかに見えたが、判定はアウト。「風はないと思ったけど、微妙にあったというか、微妙に戻ったというか…」と振り返る山口。これまでもギリギリのコースをついたショットがアウトになるシーンも多く、この勝負所でもわずかな微調整ができなかった。これで同点になった山口は、そのままシンドゥに逆転を許し、第1ゲームを失った。
第2ゲームに入ると、山口はシンドゥの堅いレシーブ、高い身体能力に苦しめられる。7−8と1点ビハインドの場面では、山口がスマッシュ、プッシュの連打で攻め立てるも、シンドゥがことごとく返し、さらにはネット際のヘアピンやドロップも長い足を伸ばして拾い続ける。最後は山口がクロススマッシュを沈めて見応えのあるラリーは終わったが、流れは少しずつシンドゥに傾きはじめた。
そして11-10でインターバルを折り返すと、リードしていた山口が仕切り直しのラリーでイージーミス。その後もアウトミスなどが重なりリズムを失うと、一気に8連続ポイントを奪われ、万事休す。「仕方がない失点もあったけど(11点の)インターバル明けの最初は一発で簡単にミスをしてしまった」(山口)と、一瞬の気の緩みから始まった連続失点が勝負の明暗を分けた。
山口は得意のドロップショットで崩す場面もあったが、カバー範囲の広いシンドゥにしのがれると、そこから徐々に押し込まれる展開で敗れた。攻め急ぐ課題を克服しようとしている山口にとっては、攻守のバランスを保つのが難しかったようだが「今大会は内容重視。終わったときに、自分のプレースタイルが見えていれば」と、下を向かずに次戦を見すえた。
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【男子シングルス】
▼グループB
桃田賢斗②〔21−18、21−6〕0●サミール・バラマ(インド)35分
【女子シングルス】
▼グループA
プサルラ・V.シンドゥ(インド)②〔24−22、21−15〕0●山口茜52分
▼グループB
奥原希望②〔21−18、23−21〕0●ミシェル・リー(カナダ)51分
取材・文/平野貴也
写真/BADMINTONPHOTO