12月12日に開幕するBWFワールドツアーファイナルズ(中国・広州)。大会は各種目8名・ペアが2つのグループに分かれて予選リーグを実施。各リーグの上位2名・ペアが決勝トーナメントに進出し、栄えある優勝を争う。日本からは5種目すべてに出場しており、どの選手・ペアにも優勝の可能性は十分ある。ここでは、1年間の総決算であるWTファイナルズを、日本選手を中心に展望しよう。
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【女子シングルス】
WTランキング2位の奥原希望と同3位の山口茜は、それぞれ別のグループに入った。グループAの山口は女傑・戴資穎(タイ・ツーイン/台湾)と世界選手権銀メダルのプサルラ・V.シンドゥ(インド)、そしてアメリカのベイウェン・ツァンと予選リーグを戦い、グループBの奥原は、陳雨菲(チェン・ユーフェイ/中国)とラチャノック・インタノン(タイ)、ミシェル・リー(カナダ)と激突する。
▼グループA
昨年のスーパーシリーズファイナルを制し2連覇に挑戦する山口茜は、第1戦でシンドゥと対戦することが決まった。シンドゥとの対戦は今季だけで5戦あり、山口が1勝4敗と負け越している。とくに8月は世界選手権準決勝、アジア大会の団体・個人で3連敗を喫しており、今回も苦戦が予想される。ベイウェン・ツァンにはトータルで勝ち越しているものの、7月のタイOP(Super500)、11月の福州中国OP(Super750)で敗れている。ランキングでは山口が上回っているが、2連敗中の相手だけに侮ることはできないだろう。
そして最難関となるのが戴資穎だ。今季は3戦して山口が1勝2敗。3月の全英OP(Super1000)、5月のユーバー杯で敗れたが、10月のフランスOP(Super750)では、山口が決勝の舞台で戴資穎を下して優勝を飾っている。「相手も疲れていた」と山口は戴資穎との試合を振り返っているが、勝てたことでよいイメージは残っているはずだ。
そんな山口の懸念材料となるのは疲労か。12月は全日本総合(単複合わせて9試合)、S/Jリーグ(ダブルスに出場)と連戦が続いており、コンディションがどこまで回復しているかも、勝負の行方を左右するだろう。
山口が対戦する3選手との対戦成績は以下の通り。
WTR6位 シンドゥ:4勝9敗
WT11位 ツァン:5勝4敗
WT1位 戴資穎:5勝7敗
▼グループB
2015年スーパーシリーズファイナルで優勝を飾っている奥原は、3年ぶりの優勝に挑む。第1戦で争うリーとは5月のユーバー杯、9月の中国OPで2回対戦し、どちらも2−0のストレート勝ち。リーは攻撃力がある選手だが、過去の対戦を見ても、ラリー力、ディフェンス力で勝る奥原に分がある。初戦で白星をつかみ、勢いに乗りたい。
奥原にとってポイントとなるのが、2013年世界選手権優勝・インタノンとの対決だ。世界を制した経験がある2人は、今季2回対戦して1勝1敗の結果。1月のインドネシアマスターズ(Super500)ではインタノンが、11月の香港OP(Super500)では奥原がそれぞれ勝利をつかんだ。実力的には拮抗しているだけに、決勝トーナメント進出に向けては、どちらも負けられない戦いとなる。
中国のエース格に成長した陳雨菲とも今季は1勝1敗と五分の成績。6月のマレーシアOP(Super750)では奥原が白星を手にしたが、9月の中国OP(Super1000)では決勝の舞台で優勝を争い、地元の意地を見せた陳雨菲が勝利している。スピーディーな攻撃を得意とする相手だが、奥原としては持ち味のラリー勝負で自分のペースに持ち込み、勝機をつかみたいところだ。
奥原が対戦する3選手との対戦成績は以下の通り。
WTR8位 ミシェル・リー:4勝2敗
WTR5位 インタノン:5勝4敗
WTR4位 陳雨菲:3勝1敗
■WTファイナルズ過去の日本人優勝者
2014年:髙橋礼華/松友美佐紀
2015年:桃田賢斗、奥原希望
2017年:山口茜、米元小春/田中志穂
※大会名はスーパーシリーズファイナル
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/BADMINTONPHOTO