日本バドミントン協会が主催する初のファン感謝イベント『バドミントンファンフェスタ2018』が11月4日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京・調布市)のメインアリーナで行なわれた。武蔵野の森総合スポーツプラザは、2020年の東京五輪のバドミントン会場。1年半後に迫った本番では、ここに3面のバドミントンコートが設置される予定だが、このイベントでもメインアリーナに3面のコートが敷かれ、バドミントンファンに開放された。
「2020年にプレーしているトップ選手たちに思いを馳せて、楽しくプレーしていただけたら」と銭谷欽治・日本協会専務理事はオープニングセレモニーであいさつ。日本B代表選手を中心に、S/Jリーグに所属するNTT東日本、再春館製薬所、ヨネックスの選手やスタッフ、日本代表OBやOGたちがクリニックなどを行ない、小学生から一般まで多くの愛好家が汗を流した。クリニック後には、トップ選手との対戦をかけたエキシビションマッチトーナメントも行なわれた。
オリンピアンによるトークショーでは、北京、ロンドンの2大会に出場した池田信太郎氏が司会を務め、スポーツキャスターの陣内貴美子さん(バルセロナ大会出場)、町田文彦・元NTT東日本監督(バルセロナ、アトランタ大会出場)、佐藤翔治・NTT東日本コーチ(アテネ、北京、ロンドン大会出場)、早川賢一・日本B代表&日本ユニシスコーチ(リオ大会出場)、栗原文音(日本ユニシス/リオ大会出場)が「オリンピックの思い出」というテーマで、いまだからこそ明かせる秘話を公開した。
会場には、コートのほかにもバドミントンを楽しむためのさまざまな体験ブースが設置された。日本A代表の桃田賢斗や奥原希望、園田啓悟/嘉村健士とVRを使って擬似対戦ができるコーナーや、スマッシュスピードコンテスト、ヨネックスの新作ラケットでスマッシュの角度によって定められた得点を競うコーナーなど、それぞれ長蛇の列ができ、参加者たちは出番を待った。また、車いすバドミントンの体験コートでは、参加者がパラバドミントン日本代表選手の指導を受けて競技用車いすを操作し、短い時間の中でもラリーを楽しんだ。
そして、子どもたちから年配の方まで幅広い年齢層の方々が長い時間足を止めていたのが、バドミントンの歴史を知ることができる展示エリア。貴重な資料やパネルで、バドミントンの起源から日本バドミントン界の歴史について詳細に解説されており、より深くバドミントンを知るには絶好の機会となったようだ。イベント終盤には、1分間のラリー数を競う「東京2020応援プログラム」、日本代表選手のサイン入りユニフォームなどが当たる大抽選会も行なわれ、最後まで会場はにぎわった。
参加選手の栗原は「普段の大会では声援をもらうことはありますが、ファンの方とじかに接することはないので、こういう機会は貴重。応援していただけると感じるのは、モチベーションにもなる」と今回のイベントの感想を語った。また、早川コーチは「一般のファンと触れ合う機会を増やすことが、バドミントンがメジャーな競技になっていく上で大事。現役選手のときから、こうしたイベントをやりたいと思っていた」といい、「(ナショナル)A代表の選手が参加することで、さらなる盛り上がりにつながると思う」とも語っていた。
日本バドミントン協会の丹藤勇一事務局長によれば、このイベントは来年以降も継続して行なっていく方向で、今回はナショナルA代表が中国OPに出場しているため参加できなかったが、「来年はA代表も参加する日程で調整したい」とコメント。日本代表選手とファンとの距離をさらに縮める、有意義なイベントとしての進化が期待される。
取材・文/田辺由紀子
写真/菅原 淳