4年に一度開催されるアジアのビッグイベント「第18回アジア大会」のバドミントン競技は22日、男女団体戦の決勝が行なわれた。男子は開催国のインドネシアと、5月のトマス杯で優勝を飾っている中国が決勝に進出。バドミントン大国同士の頂上決戦は、白熱した試合が繰り広げられた。
2002年に銀メダルを獲得して以来の決勝進出となったインドネシア。1998年に優勝し、20年ぶりの金メダルをめざした伝統国の前に立ちはだかったのは、王朝復権をねらう中国だった。第1シングルス、中国は世界選手権準優勝の石宇奇(シー・ユーチー)を起用して先制ポイントを奪いにいくと、インドネシアは今大会で高いパフォーマンスを発揮しているアントニー・シニスカ・ギンティンが迎え撃った。
第1ゲームは、序盤から鋭い攻撃を連発したギンティンが21-14で先取し、優勝を信じて応援する地元ファンが盛り上がる最高のスタート。さらに第2ゲームも石宇奇とデュースにもつれる接戦を繰り広げる。21-23で敗れたものの、勢いは地元の応援を背に戦うギンティンにあった。
そして、最終ゲームも積極的に攻撃を仕掛ける石宇奇に、ギンティンも負けずに対抗。スピードを上げてシャトルにくらいつき、ポイントを重ねた。しかし、フルパワーでラリーを追ったギンティンの足は限界に。20オールのラリーでギンティンの足が止まり、ネット前に落とされた球に対応できず。ここでギンティンが自らキケンを申し出たことにより、石宇奇の勝利が決まった。
先に白星をつかんだ中国は、世界選手権王者の李俊慧(リ・ジュンフイ)/劉雨辰(リュウ・ユーチェン)を第1ダブルスに配した。対するインドネシアは、世界ランク1位で母国のポイント源となるギデオン/スカムルヨ。ここで星を落とすと苦しい戦いとなるインドネシアは第1ゲーム、ギデオン/スカムルヨが長身の中国ペアを21-17に抑えると、第2ゲームも後半まで続いた接戦を先に抜け出して21-18。星を一つ奪い返したインドネシアが1−1とした。
なんとか持ちこたえたインドネシアは、第2シングルスにジョナタン・クリスティを起用。若きエースに希望を託したが、その流れを食い止めたのはリオ五輪金メダリストの諶龍だった。第1ゲームこそ地元の熱い応援に乗ったクリスティが21-19で奪ってみせたが、第2、第3ゲームは諶龍が本領を発揮。堅いディフェンスからチャンスを作り出し、16本、18本で逆転勝利。中国が王手をかけた。
第2ダブルス。勝てば頂点に到達する中国は、17年世界王者の張楠/劉成。これに対してインドネシアは、アルフィアン/アルディアントで勝負に出る。すると、ここでも互いに譲らずファイナルゲームに突入。第3シングルスに望みをつなげたいアルフィアン/アルディアントも積極的にアタックを仕掛けて張楠/劉成に迫ったが、終盤に強さを見せたのは百戦錬磨の中国ペア。最後は21-18でインドネシアペアを振り切って勝利。これにより、中国が2010年広州大会で優勝して以来、実に8年ぶりの栄光をつかんだ。
▼決勝戦
中国 3−1 インドネシア
石宇奇②〔14−21、23−21、21−20、キケン〕1●アントニー・シニスカ・ギンティン
李俊慧/劉雨辰●0〔17−21、18−21〕②ギデオン/スカムルヨ
諶龍②〔19−21、21−16、21−18〕1●ジョナタン・クリスティ
張楠/劉成②〔21−18、17−21、21−18〕1●アルフィアン/アルディアント
なお、23日から28日にかけては各種目の個人戦が実施される。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原 淳