【アジア大会】日本が強豪の中国を撃破し、48年ぶり金メダル!<女子団体>

4年に一度開催されるアジアのビッグイベント「第18回アジア大会」のバドミントン競技は22日、男女団体戦の決勝が行なわれた。準決勝で開催国のインドネシアを3-1で下した日本は、1970年以来48年ぶりとなる金メダル獲得をかけて、大会を5連覇している強豪・中国と激突した。

アジアの頂点に立ち、再び強さを証明した日本女子
アジアの頂点に立ち、強さを証明した日本女子

今年5月に行なわれたユーバー杯で世界一に輝いた日本。その舞台で戦うことのなかった中国との勝負がアジアの頂上決戦で実現した。
日本の第1シングルスに起用されたのは山口茜だ。相手は世界選手権の準々決勝で下したばかりの陳雨菲(チェン・ユーフェイ)。今大会、いまだ勝ち星のない山口は「チームに貢献したい」という強い気持ちでコートに立ったが、中国の気迫がそれを上回る。序盤から積極的に速いテンポで仕掛けてくる相手に第1ゲームを15本で失うと、第2ゲームも勢いに乗る陳雨菲を止められず12本で敗戦。「思いきって打ってくる相手に対して積極的にいけなかった」と受け身になった山口がエース対決に敗れ、日本は中国に先制を許した。

山口茜はエース対決に敗れた
山口茜はエース対決に敗れた

しかし、ここから日本の反撃が始まる。これまで何度も流れを引き戻す役割を果たしてきた福島由紀/廣田彩花が、強敵の陳清晨/賈一凡(チェン・チンチェン/ジャ・イーファン)を2-0のストレートで撃破。序盤から攻勢をかけて第1ゲームを12本で奪うと、第2ゲームは11-3から連続失点で追いつかれたものの、「応援が聞こえて気持ちを落ち着けられた」(福島)と、冷静さを取り戻して17本で勝利。頼れる二人の力強い一勝で、日本はスコアを1-1のイーブンに戻した。

勝利を決めて喜ぶ福島由紀(奥)/廣田彩花
勝利を決めて喜ぶ福島由紀(奥)/廣田彩花

続く第2シングルスでは、奥原希望が躍動。世界選手権銅メダリストの何冰嬌(へ・ビンジャオ)を相手に勝負はファイナルゲームにもつれ込んだが、最後は「勝ち急がずに、じっくり目の前の一本を取りにいこう」と得意のラリー勝負で競り勝った奥原が2-1。日本は優勝に王手をかけた。

そして、第2ダブルスにはリオ五輪金メダリストの髙橋礼華/松友美佐紀が登場。「相手の黄東萍(ファン・ドンピン)選手は前衛がうまく、パートナーは攻撃力がある。その攻撃だけしっかりレシーブできればコンビネーションは絶対有利」(髙橋)と自信を持ってコートに立つと、ペアとしての経験値が少ない相手を的確に崩して16本、11本で圧倒。中国を3-1で下した日本が1970年以来、48年ぶり3度目となるアジアの頂点に立った。

日本の優勝を決めたのは髙橋礼華(右)/松友美佐紀
日本の優勝を決めた髙橋礼華(右)/松友美佐紀

◇選手コメント

山口茜
「全体的に積極的なプレーができなかったし、相手のほうが思いきってやれている感じがあった。(重圧があったか、という問いに)他の日本選手が強いので、トップシングルスだからというのはあまり考えていなかったけど、しっかり流れはつくりたいと思っていた。そういう意味では、うまくいかないときにどうしよう、となってしまった。この結果を次に生かせるようにしたい」

福島由紀
「自分たちのやるべきことをやろうと思っていました。第2ゲームは11-3から追いつかれて正直、嫌な流れだなと思いましたが、ラリーをして12点目を取れたときに流れがこちらに来たかなと思います。この場面ですごく大きかったのは、『福島一本!』という応援が聞こえたこと。気持ちを落ち着けられたし、切り替えることができました」

廣田彩花
「左右ペアである相手のパターンにハマらなければ自分たちの攻撃も決まっていたし、風があってコントロールしづらいなかでも自分たちのほうが攻撃できていた。その点で相手より上回っていたと思います。ユ杯のときに第1ダブルスに立たせてもらって、チームに迷惑をかけた部分もあったので、第1ダブルスで流れを持ってきたい気持ちがあった。(3戦全勝できたのは)成長できているんじゃないかと思う」

奥原希望
「最近すごくパフォーマンスがいい相手だったので、カウンターを警戒しつつ、ラリーでも心が折れないように我慢していこうと試合に入りました。後半は相手が疲れていたので大量リードできた場面もあったんですけど、相手が開き直ってもう1回ファイティングしてきたときに合わせてしまった。でも、勝ち急がずにじっくり目の前の一本を取りに行こうと。1ポイントをあげる役割はしっかり果たせたと思います」

髙橋礼華
「自分たちで優勝を決めるのはなかなか味わえないこと。茜ちゃんが負けてしまったけど、みんなでカバーするのが団体戦。本当にみんなで勝ち取った優勝だと思う。一番のライバルは中国なので、そこに勝って優勝できるのは各段にうれしい」

松友美佐紀
「(優勝が)48年ぶりというのを聞くとすごいなと思う。団体戦で優勝できるチャンスはいままでほとんどなかったと思うので、チャンスをものにできてよかった。自分たちが試合を決める状況もなかなか味わえないので、いい経験になりました。いまはとてもホッとしています」

日本の結果は以下の通り。

◆決勝・結果(22日)

日本 3-1 中国

山口 茜0●〔15-21、12-21〕②陳雨菲

福島由紀/廣田彩花②〔21-12、21-17〕0●陳清晨/賈一凡

奥原希望②〔21-16、19-21、15-21〕1●何冰嬌

髙橋礼華/松友美佐紀②〔21-16、21-11〕0●黄東萍/鄭雨

なお、23日から28日にかけては各種目の個人戦が実施される。

取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原 淳

投稿日:2018/08/23

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