4年に一度開催される「アジア大会」のバドミントン競技が、8月19日にインドネシア・ジャカルタで開幕した。大会2日目の20日は、男女団体戦の準々決勝を実施。午前の部には、第1シードで準々決勝が緒戦となった日本女子が登場。今年5月、37年ぶりにユーバー杯を制し、今大会も頂点をめざす日本は強国・インドと対決した。
チームに勢いをつける意味でも重要な第1シングルス。日本は世界選手権銅メダリストの山口茜が登場した。相手はその準決勝で敗れているプサルラ・V.シンドゥ。山口は「団体戦なので、もし自分が負けても(チームは)勝てると思って思い切りいった」と、序盤から持ち味のねばり強さとアグレッシブなプレーを披露。しかし、第1ゲームは18オールから攻撃力ある相手に抜け出されると、第2ゲームも19オールから2連続得点を許して0-2で敗戦。終盤の勝負所で得点を重ねたシンドゥが先制に成功した。
エース対決に敗れた日本だったが、焦りはなかった。第1ダブルスの福島由紀/廣田彩花は「しっかり準備していたので、緊張やプレッシャーはなかった」と、格下のインドペアを15本、6本と圧倒。日本に流れを引き戻すと、続く第2シングルス・奥原希望も強敵のサイナ・ネワールを2-1で撃破。パワーとねばりのある相手に苦戦しながらも、「最後は自分の持ち味の一つであるディフェンスから相手にプレッシャーを与えることができた」と笑顔を見せた奥原が日本の勝利に王手をかけた。
ここで登場したのは、髙橋礼華/松友美佐紀だ。経験、実績ともに豊富な二人はダブルスの名手・ポンナッパとシンドゥが組む即席ペアを問題なく攻略し、2-0。日本が3-1でインドに勝利し、明日21日に行なわれる準決勝に駒を進めた。
なお、アジア大会は順位決定戦が行なわれないため、前回銅メダルの日本は2年連続となるメダルを確定させている。
◆コメント
奥原希望
「相手はパワーがあってねばり強い。1ゲーム目はシャトルが飛ぶほうで作戦通りいけましたが、飛ばない方に入った2ゲーム目は力んで自分のリズムが崩れてしまいました。でもファイナルゲームは、ディフェンスをしっかりしてから自分が仕掛けようと切り替えられた。そこで立て直せたのはよかったです。
ユーバー杯では茜ちゃんが第1シングルスとしてしっかり仕事をしてくれて、やりやすかった。今日の試合は取りこぼしてしまったんですけど、所々で茜ちゃんらしいプレーがあったので、私も私らしいプレーをしようと勇気付けられました。日本は王者といっても、アジア大会の王者には(このチームで)なっていないので、一戦一戦みんなで戦っていきたいです」
髙橋礼華
「インドはシングルス2つが本当に強い。その2つがどうなるかわからなかったので、気持ちの準備はしていました。でもまさか、シンドゥ選手とダブルスをやることになるとは(笑)。オーダーを見たとき、第1ダブルスより強いと思いましたが、攻撃力のある相手に対して打たれるのを覚悟してコートに入ったことがよかったと思います。
(メダル獲得が決まったことについて)自分たちは前回の団体戦、個人戦ともに経験していますが、団体は銅メダルで終わってしまいました。そこから日本はユーバー杯で優勝したり、スディルマンカップでも2位。いろいろ結果を残しているぶん、みんなきっとここでは満足していないと思います。これ以降もみんなで、気を引き締めて挑戦者の気持ちで向かっていけたらと思います」
日本の結果は以下の通り。
◆準々決勝・結果(20日)
日本 3-1 インド
山口 茜0●〔18-21、19-21〕②プサルラ・V.シンドゥ
福島由紀/廣田彩花②〔21-15、21-6〕0●レッディー/サラ
奥原希望②〔21-11、23-25、21-16〕1●サイナ・ネワール
髙橋礼華/松友美佐紀②〔21-13、21-12〕0●ポンナッパ/シンドゥ
【大会日程・団体戦(男子13カ国、女子11カ国が参加)】
19日(日)…男女1回戦
20日(月)…男女準々決勝
21日(火)…男女準決勝
22日(水)…男女決勝
※23日(木)から個人戦
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原 淳