バドミントンにおいて、ラケットはプレーヤーの「手」と同じ役割を果たすといっていい。そのラケットのなかでも「グリップ」は、選手によってテープの素材や巻き方が異なり、独自性が出やすい部分だ。ここでは、トップ選手のグリップへの「こだわり」に迫る。
【連載】Vol.17 古賀 輝
(NTT東日本)
タオルグリップを使ったら感覚的にしっくりきた
――グリップのこだわりを教えてください。
昔は太いほうが好みだったんですが、最近はできるだけ細めに巻くようにしています。
ーーそれはなぜですか?
ダブルスの速い展開に対応するためには、細いほうがグリップチェンジしやすいからです。ちなみに、大学までは単複プレーしていましたが、ラケットを単複で使い分けたり、グリップの巻き方を変えたりはしていなかったです。
――現在の巻き方を教えてください。
まずは元グリ(もともと巻いてあるグリップ)を剥がして、木の状態にします。そこにアンダーラップを重ねない程度に薄く巻いていきます。スタートはグリップの三角キャップあたり。そこからグリップエンドに向かっていき、キャップのほうに戻ります。
――エンドのほうで巻き終わる選手が多いですが、古賀選手は逆ですね。
エンドのほうで終わると、アンダーラップの収まりが悪くて嫌なんです。だったらシャフト部分で切って、クルクルと巻いたほうが収まりがいいかなと(下写真参照)。適当にちぎっちゃうときもありますけど(笑)。
――グリップエンドは膨らみを持たせています。
アンダーラップを厚めに巻いて、膨らみをつくっています。打ったときにグリップに手が引っ掛かるような感じがあるので持ちやすいですし、力も入れやすいです。
――テープはタオル派ですね。
中学1年生くらいまではウェットでしたが、一度タオルを使ってみたら感覚的にしっくりきました。それに、自分はけっこう手汗をかくほうなので、いまウェットを使うとラケットがすっぽ抜けちゃうと思います(笑)。
――グリップテープを巻くときのポイントは?
仕上がりがデコボコにならないように、テープを重ねずに巻きます。できるだけ細くしたいですし、ボコボコになると握るときに気になるので。
――巻き終わりは?
とくにこだわりはありません。僕はそこまで短く持たないので、最後は適当ですね。
――色は黄色。
好きな色は赤と黒なんですが、グリップは黄色が一番しっくりきます。
――巻き替え頻度を教えてください。
10日に1回くらいでしょうか。タオルの生地が汗で固まったりして、持ちにくくなったら巻き替えます。あと、実は僕、“元グリ”の状態も好きなんです。新品のラケットは元グリが滑りにくくて、やりやすいんですよ。なので、何も巻かずに試合に出たことも。これはちょっと、珍しいかもしれません(笑)。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原 淳