日本が 40年ぶりの戴冠
8月、20年ぶりにスコットランドで開催された世界選手権。1977年の第1回大会で女子ダブルスの栂野尾悦子/植野恵美子が優勝して以来、長らく世界一から遠ざかっていた日本代表。しかし、ついに歴史を塗り替える瞬間がやってくる。
その快挙を演じたのが、女子シングルスの奥原希望だ。3回戦では大堀彩との日本人対決を制し、準々決勝ではリオ五輪金メダリスト、キャロリーナ・マリーン(スペイン)を2−1で撃破。準決勝も、経験豊富なサイナ・ネワール(インド)をファイナル勝負の末に下して決勝に進出した。
決勝は、2016年リオ五輪の準決勝で敗れているプサルラ・V.シンドゥ(インド)と対戦。ファイナルゲームへと突入した勝負は100分を越えたが、最後は奥原が激闘を制して世界一達成。2015年SSファイナル優勝、2016年リオ五輪銅メダルなど、大舞台で強さを発揮する彼女の真骨頂が、世界選手権でも発揮された。
「ファイナルゲームは、せっかくここまできたし、もっとやってやろう、もっと楽しもう、という気持ちが出てきました。そう考えたら、相手の方が苦しそうに見えてきて、自分の方が余裕があるのかなと思えたんです。どんなに相手にリードされても、1点とられても、“次の一本”と焦らずにできたと思います」(奥原)
奥原のほかにも、日本代表からもう一組が世界選手権のセンターコートに立った。それが女子ダブルスの福島由紀/廣田彩花。4月のマレーシアOP優勝など急成長を遂げる新鋭は、韓国、デンマークの強豪ペアを下して決勝に進出。その決勝戦は、陳清晨/賈一凡(中国)にファイナルゲーム15本で敗れたものの、初の大舞台で銀メダルを獲得。「決勝の舞台はすごく楽しんでできたと思います。でも、負けてしまって、悔しい気持ちがあります」と廣田。福島も「いまはすごく悔しい気持ちでいっぱいです。でも廣田がいったように、決勝の舞台を2人で楽しくやる、というのはできたと思うので、そこはよかったと思います」と、悔しさと手応えをつかんだ戦いを振り返っている。
また、日本勢は男子ダブルスの園田啓悟/嘉村健士、女子ダブルスの髙橋礼華/松友美佐紀も銅メダルを獲得。合計4つのメダルで世界選手権を終えている(帰国会見はこちら)。
<第6回終わり>
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/北川外志廣