12月1日に開催された第71回全日本総合選手権(東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館)4日目は、各種目準々決勝が行なわれた。ここでは、男子シングルス・桃田賢斗の試合後のコメントを紹介しよう。
(NTT東日本)
結果:準々決勝は武下利一(トナミ運輸)と対戦。第1ゲームを20-22で失うと、第2ゲームは15本で敗れ、ベスト8に止まった
――試合を振り返って。
桃田「武下選手の気迫というか、気持ちのこもったショットに対して少し自分が引いてしまった部分がありました。『武下選手がミスしてくれたらいいな』という安易な考えでラリーをしていたのが今日の敗因だったかなと思います」
――自分の悪かったところを具体的にいうと。
桃田「今日は武下選手に攻めさせて、相手を動かしてから自分が攻撃していこうという作戦でした。その展開で進みましたが、武下選手はなかなかミスをしてくれなくて、ネット前のショットも武下選手のほうが上で取っていましたし、いいショットもすごくあった。途中で自分がネット前の球に対してもっと踏み込めていれば、まだチャンスはあったのかなと。弱気になって後ろへ、後ろへと、簡単に弾いてしまっていたのが今日の敗因だったかなと思います」
――今日の敗戦は、日本代表に復帰するうえで痛い敗戦になったのでは。それについてどのようにとらえているか。
桃田「相手がいいプレーをしてきたとしても、それに対して負けているような選手は、A代表には入れないと思います。その代表復帰よりも、支えてくださった皆様の期待に応えられなかったことがすごく悔しいです」
――今大会は1回戦から苦しい展開が続いたが、他の大会と比べて、動きや気持ちの面で違いはあったのか。
桃田「海外の試合は、自分の力を出せればいいと考えてプレーしていましたが、今回は本当に優勝したいと思っていたぶん、力が入ってしまったと思います。そういうところから、弱気になる場面があったり、積極的にいく場面が少なかったりしたのかなと」
――勝つために何が足りなかったか。
桃田「試合をしていてスタミナ的にきつい部分はあったんですけど、まだ動ける余力はありました。そこは成長してきた部分だと思います。ですが、自分がチャンスだと思ったときの球の精度や、瞬発的なスピードなどは、まだまだ足りないと感じました」
――多くの人が桃田選手の試合を見に来ていたことに対して、どのように感じたか。
桃田「一度、ファンの皆様を裏切ってしまうような形になってしまったのですが、またこうして自分のプレーを見ようと会場に足を運んでくださり、苦しい場面でもすごく応援してくださって、自分のモチベーションにもなりましたし、ここで折れちゃいけないという強い気持ちも芽生えました。まだまだ自分はこれで終わりじゃないと思っているので、もっともっと強くなった姿をファンの皆様に見せていけたらと思います」
――負けはしたが、清々しさのようなものも見受けられる。大事な大会を終えて、自分の中で気づいたことや、感じたことは。
桃田「相手選手の際どい球などを返せたときに、会場の皆さんから歓声が湧いたり、どよめいたりしたときに、やはりバドミントンは楽しいなと感じました。やっていてすごく楽しかったですし、今日は自分のできるプレーを出せたと思います。なので、ここをああしておけばよかったというのはあまりありません。明日は武下選手に頑張ってもらいたいなと思います」
――応援してくれる人のために、今後、どういう姿を見せていきたいか。
桃田「土曜日も日曜日も試合をして、もっともっと多くの皆様に試合を見ていただきたかったのですが、それができなくなってしまったので、また日本で開催する試合に出たときに、人としても、プレーヤーとしても、いまよりもっともっと強くなった姿を見せられるように頑張っていきたいと思います」
※掲載しているコメントは会見から抜粋し再構成したもの
取材・構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/井出秀人