皆さん、突然ですが「インソール」って知っていますか? そうです、シューズの中に敷いてある、「中敷き」のことです。一見、薄くて地味なインソールですが、使用される素材が多岐にわたっていたり、オーダーメイドで作ることができたりと、じつはものすごく奥が深いんです。トップアスリートの中には、インソールのブランドと専属契約を結んでいる選手もいるくらいです。
『バド×スピ!』でもこのインソールに着目。「formthotics(フォームソティックス)」のインソールを使用して、モニター企画を展開していきます。最終回となる今回は、4人のモニターによる感想を紹介します。
今回、モニター協力をいただいた4人。左から白木さん、藤本さん、石橋さん、小池さん。モニター使用期間は約3週間で、バドミントンを行なうときはフォームソティックスのインソール(ラケットスポーツ用の『デュアル』)を使用してもらった。以下、使用を終えての4人の感想を紹介する。
白木耕太郎さん(合計使用時間:約20時間)
取れない球が取れるようになりました
「前に使っていたインソールに比べて、薄くて屈曲性があり、軽いながらも衝撃吸収性も高かったです。すごく動けるようになって、勝てない相手に勝っています、本当ですよ(笑)。試合だけじゃなくて、ノック練もやってみたのですが、それまでよりも動けて、取れない球が取れるようになりました。
いままで使ったインソールでは、指の跡がつかないのですが、今回のインソールでは、はっきりと5本指の跡がついています。それだけ使っているということだと思います。50才を超えていますが、年をとると反応が遅れるのですが、足がよく出るようになりました。インソールの表面が滑らないので、耐久性も高く感じられます。
なかでも印象に残っているのは、インソールが足に吸いついて、シューズが足の一部になっているような感覚。それはいままでにありませんでした。これからも使っていきたいですね」
藤本ホセマリさん(合計使用時間:約50時間)
幅広い選手にとって使いやすいものに
「『もの』としては、すごくいいと感じました。最初からドライヤーを使って成型したほうがよりフィット感が高まるので(第2回参照)、そこを徹底すれば、幅広い層の選手にとって使いやすいものになると思います。インソールへのこだわりが出る前の段階で、『まず自分のインソールを試してみたい』という人にとってはおすすめできるのではないでしょうか。
使用したインソールについていうと、足の形がついていて、一番力が加わるところが凹んでいます。それによって足にフィットするのはわかりますが、凹んだところが薄くなるので、クッション性が落ちるという不安があります。足に合った形がある程度できあがっても、クッション性が残るといいなと感じています。
よかったのは、やはり足にフィットするという点です。自分の足の形に合ってくれるものとしては、いままでオーダーメイドしかありませんでしたが、それがこの金額(5980円+税)で購入できるというのは、コスパ的にはいいですね」
石橋律子さん(合計使用時間:約20時間)
コスパと軽さは評価できます
「私自身、オーダーメイドのインソールを3年間使用しています。インソールで重視するのは、ダントツでグリップ感です。“足袋”のようにシューズを使いたいというか、足の裏で床を蹴っている感覚が欲しいので、薄くて硬いタイプのインソールを使っています。その点で、今回のインソールは使うごとに慣れてきましたが、ふわっとした柔らかい感じ、クッション感が強いのが最後まで気になりました。
私はインソールに対してシューズ1足分の費用をかけてもいいと思っています。それを考えると、フォームソティックスのインソールは既製品でありながら、このコストパフォーマンスと軽さは評価できますし、フィット感についても、慣れれば違和感なく使えているのも事実です。最初に使ったときから、そういた感覚が得られればいいなと思いました。スタッフの方に薦められた『シングル』を使ったら印象が変わるかもしれませんね」
小池直樹さん(合計使用時間:約30時間)
新しいシューズでも自然に動けました
「自分の足はハイアーチ(土踏まずが高い位置にある)なんですが、その点については、不安感なく使用することができました。使用していくうちに、力がかかるところは薄くなって硬いくらいになり、力があまりかからないところはクッション性がちゃんと残っているのが、個人的に好きでした。
使用してみて、それまでと動きの違いなどはとくに感じませんでしたが、新しいシューズに買い替えたとき、最初は不安感があるものですが、インソールを入れ替えて使ったことで、最初からフルに近い形で自然に動くことができました。(あらかじめシューズについている)新品のインソールは滑ったり、足型ができていないところが不安だったりするので、それはとてもよかったです。
気になったのは、コストパフォーマンス。自分がまだ社会人なったばかりというのものあるのですが、インソールにあまりお金をかけたくないのが正直なところです(笑)。個人的には、5000円以下が一つの目安になるかなと思います」。
◇バドマガ編集部より
約3週間のモニター期間を経て出てきた感想は、長期間使用したときの耐久性を気にする人もいたが、おおむね好意的なものが多かった。なかでも、高い効果を実感していた白木さんについては、インソールによって足部、下腿、ヒザなどが正しいアライメント(配列)になり、さらに足の裏でセンサーの役割を果たしている器官が十分に働いている状況が推察される。
今回、モニター協力いただいた4人は、実業団、シニアにおいてトップレベルで活躍する選手だったが、フォームソティックスとしては、バドミントンプレーヤーの“ピラミッド”における“すそ野”の部分に属する選手をメインターゲットに考えている。バドミントンを純粋に楽しむ人、そして、一つレベルが上がって上達のために道具に興味を持った人にとっては、満足いくクオリティーが備わっているといえるだろう。また今回は振動吸収性に優れた「デュアル」タイプを使用したが、矯正力が高い「シングル」タイプもあり、ユーザーの選択肢が複数あることも魅力だ。
これまで、バドミントンにおいてインソールに着目されることはほとんどなかったが、パフォーマンスアップのカギを握る存在であることは間違いないだろう。第3回で登場いただいたRUNARTの田中院長も「パフォーマンスは“足”から」と断言する。皆さんも、自分に合ったインソールを探してみてはいかがだろうか。
formthotics(フォームソティックス)…足医療先進国として知られるニュージーランドで製造されているインソール。世界各国の足病医が治療のためにこのインソールを処方しており、スポーツを目的にしたシリーズも展開、日本を含む世界30カ国で1000万足以上が販売されてる。通販サイト「Amazon」などでも購入できる。詳しい情報はこちら
取材・文/バドミントン・マガジン編集部