男子チームが国内最高峰のS/Jリーグ、女子チームが2部にあたる日本リーグに所属するトリッキーパンダース(以下、トリパン)では、「世界」での活躍をめざし、そのための強化費を得るべく、クラウドファンディングを実施している。
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の協力を募るものだ。今回トリパンが募っているのは、チーム強化費の一部。クラウドファンディングが成立すれば、チームや個人の海外遠征や、海外からのスパーリングパートナー招聘などに充てられる。活動費が決して潤沢とはいえないチームにとって、これらが非常に貴重なものになるのはいうまでもない。
だからといって、チームとしてめざしているのは資金の調達だけではない。代表である渡辺哲義氏は、今回の試みの意義をこう話す。「予算の都合でできなかったことが(クラウドファンディングを通して)チャレンジできることで、選手のモチベーションやチームの可能性を開拓できると思う」。
チームの可能性の開拓――。そこには「チームとして、いつも新しいチャレンジをしていかないとならない」(渡辺氏)という考えがある。S/Jリーグ、日本リーグともに、所属チームのほとんどは企業が運営母体になっているが、トリパンは異なる。所属選手が一般プレーヤーを指導し、そのレッスン料の多くをチームの活動費にあてているのだ。選手自身が、チーム活動費を稼ぐ。そんなチームにとって、つねに新たな可能性を探ることは、宿命といっていいのかもしれない。
「クラウドファンディングにはいろいろな関わり方があります。投資していただけることはもちろんありがたいことですが、自分たちの活動を理解していただき、それをツイッターやフェイスブックなどで拡散していただく。その中で多くの共感やご意見などをいただくことで、新しいトリッキーパンダースを創造していきたいと思います」(渡辺氏)
バドミントン界では、まだ珍しいといえるクラウドファンディングへの挑戦。6月30日からスタートした試みは、目標金額が150万円。リミットは8月31日(木)23時となっている。
トリパンのクラウドファンディングに至る経緯や詳細は こちら(渡辺哲義氏執筆)
取材・文/バドミントン・マガジン編集部