5月27日(土)に開幕した『2017年日本ランキングサーキット大会』(埼玉県さいたま市)。31日(水)は各種目の決勝が行なわれた。ここでは、男女シングルスの試合結果と選手のコメントを紹介しよう。
【男子シングルス】
男子シングルス決勝は、桃田賢斗(NTT東日本)と上田拓馬(日本ユニシス)、互いの力を出し尽くした激闘だった。
第1ゲームは桃田が得意のスマッシュを決める一方、上田のミスが目立ち、21-13で桃田が奪う。第2ゲームに入ると、レシーブ力と丁寧なプレーが身上の上田が集中力を増し、ラリーでねばって崩す形が決まりはじめる。8-7と上田が1ポイントリードの場面から、6連続ポイントで14-7。コースをついたスマッシュをノータッチで3本連続で決めるなど、相手コートにスペースを作る組み立てが光った。桃田はサービスの構えに入る前、両足ジャンプなど体をほぐす動作を何度もするが、そこから追いつくことはできず。14-21で、この大会初めてゲームを失った。
ファイナルゲームは互いの集中力が高まり、スーパープレーの応酬に。上田が3-4から5連続得点で突き放すが、桃田が点差を詰めて、折り返しは桃田11-10上田。勝負を決する終盤、18-18の場面で、桃田が上田のバックサイドに渾身のスマッシュ。ノータッチで決まると、「ヨーシ!」と絶叫して拳を握りしめた。マッチポイントを一度しのがれて、20-19からの長いラリーは、上田のロブがバックラインを大きく越えてゲームオーバー。桃田はそのまま床にくずれて顔を伏せ、しばらく動けない。対する上田も、桃田とほぼ同じ体勢のまま。両者は場内からの大きな拍手にうながされるように起き上がり、歩み寄って握手をかわした。約83分間、一瞬も目が離せないハイレベルな試合。戦い終えた桃田の目から、涙があふれていた。
▼試合結果
桃田賢斗(NTT東日本)②〔21-13、14-21、21-19〕1●上田拓馬(日本ユニシス)
🔻選手コメント
上田拓馬
「1ゲーム目は来た球をそのまま後ろに上げて打たれてしまいましたが、2ゲーム目からは来た球を少しためて逆に出したりして、相手に体をしっかり入れて打たれないように心掛けました。最終的には残念な結果でしたが、いまできることは全部やったので、自分にとってもこれから先に向けていいきっかけになるのではないかと思います。
桃田選手は前よりも動きのキレやスピードが上がっていたような印象を受けました。スーパーシリーズ(SS)を転戦していて、今日よりも簡単というか、ラリーも単発で、体力的にももう少し余力を残して勝てることもありますが、今日はそういった試合以上のクオリティーだったと思います」
※桃田賢斗のコメントは別記事に掲載
【女子シングルス】
女子シングルス決勝は、社会人2年目の齋藤栞(ACT SAIKYO)と1年目の仁平菜月(トナミ運輸)の対戦。第1ゲーム序盤は一進一退の展開から、11-7と仁平リードで折り返し。中盤以降、ネット際にふわりと落ちる仁平のドロップが左右に決まった。対する齋藤はシャトルをうまくコントロールできず、カットが何度もサイドアウトとなり、21-12の大差で仁平が奪った。第2ゲームは、11-8と齋藤リードで折り返し。齋藤が仁平のラウンドを攻めたて、仁平のクロスクリアーが再三アウトとなり、21-14の大差で齋藤が取り返した。
勝負を決するファイナルゲームは、ラウンドの攻め合い。11-7でチェンジエンズすると、仁平が攻撃のギアを上げる。ラウンドへの低いクリアーやロブに飛びつき、スマッシュやカットで沈めるなど果敢に攻め続けた。齋藤はコースをねらいすぎてのミスが重なり、仁平のマッチポイントは20-10。そこから2本ねばられたが、最後は齋藤のクリアーがバックアウト。線審のコールを聞くと、コートに立つ仁平とともに、ベンチの舛田圭太コーチからも「ヨシ!」の声。会心の笑顔でガッツポーズを決めた。
▼試合結果
仁平菜月(トナミ運輸)②〔21-12、14-21、21-12〕1●齋藤栞(ACT SAIKYO)
🔻選手コメント
仁平菜月
「今大会は一戦一戦大事に戦うことを目標にしていましたが、結果的には優勝をめざしていたのでうれしいです。決勝は長い試合になると覚悟していたので、しっかり準備して出だしから足を動かし、自分から攻めるラリーができました。2ゲーム目は崩れたところから修正できなかったのですが、ファイナルゲームは『気持ちで負けちゃいけない』と思い、しっかり我慢してラリーして自分から攻めていけたことがよかったと思います。今後は全日本総合で自分のプレーをして優勝できるように、一つひとつの大会で結果を残せるように頑張っていきたいです」
齋藤栞
「攻めようと思ってこの試合に入ったのですが、攻め急ぎすぎて出だしが悪かったので、そこがまず直さなければいけない点だなと思います。2ゲーム目は落ち着いて相手を回すことができて、相手のミスにも助けられて取れたんですが、3ゲーム目は相手に攻められすぎて自分が守りに入ってしまった。先に動かされてしまったので…そこがいけなかったなと思います。相手はスピードのある選手。自分ももっと早く球の下に入れるように、これから頑張っていきたいです」
取材・文/バドミントン・マガジン編集部