バドミントンにおいて、ラケットはプレーヤーの「手」と同じ役割を果たすといっていい。そのラケットのなかでも「グリップ」は、選手によってテープの素材や巻き方が異なり、独自性が出やすい部分だ。ここでは、トップ選手のグリップへの「こだわり」に迫る。
【連載】Vol.9 髙橋礼華(日本ユニシス)
たかはし・あやか◎1990年4月19日生まれ、奈良県出身。橿原ジュニアで競技を始め、聖ウルスラ学院英智中・高へと進み、2009年に日本ユニシス入社。高校2年のときに松友美佐紀とペアを組み、その後は国内にとどまらず世界でも屈指のペアに成長。2014年SSファイナル優勝、2016年リオ五輪金メダル。165㎝、右利き、A型。
「ふわふわ」が大事!
――グリップに対する“こだわり”はありますか?
ありますね。グリップエンドを太くすること、上はシャフトにかかるまでテープを巻くこと、握る部分は「ふわふわ」であること。主に三つかな。タオルグリップは合わなくて、ウエットタイプのグリップテープ、しかも凹凸があるタイプのものを使っています。
――「グリップエンドを太くすること」から解説してください。
グリップエンドを太くするようになったのは、日本ユニシスに入社してからです。そのころはグリップのかなり上の部分を握っていたのが、当時の監督に「それはあまりよくない」と指摘されたんです。グリップエンドの部分を太くすれば、抜け落ちることもないし、なるべく下で握るようになるからって。それ以来、ずっと太くしています。ただ、グリップ自体(握る部分)を太くするのはダメなので、そこは細めに巻くようにしています。
――「シャフトにかかるまで巻く」というのは?
昔のクセで、どうしてもグリップの上を持ってしまうからです。いまでも、前衛にいるときは上の部分を握っています。サービスを打つときも上ですね。
――そして、「ふわふわ」とは? 初めて聞くフレーズです(笑)。
まず、もともと巻かれていたグリップをはがして(木の状態にして)、アンダーラップを巻きます。その上から、グリップエンドを始点にグリップテープを巻いていくとき、ふわっふわっふわっふわって……、言葉にするのは難しいな(笑)。
――ピンと引っ張りながらではなく、ある程度の余裕を持たせながら巻いていく感じですか?
そうです。木に巻くわけだから、ギュッと巻いていくと細くなりすぎるし、痛いんですよ。自分が持ったときに痛くないグリップが一番なので。あと、ラリー中にけっこうグリップを持ち替えるので、親指の側面と人さし指の側面を効かせたグリップ使いをしたいんです。だから細めで、できるだけふわふわがいいんです。このグリップは、ナショナルの朴柱奉監督、中島慶コーチも大絶賛なんです。私のラケットを使ったあとで、「これ、よかったよ」って(笑)。
――それはすごいですね。色にこだわりはありますか?
ラケットに合わせてですね。基本的には、白かピンク。どちらも自分が好きな色です。
――巻き直すタイミングは?
試合当日は、絶対に巻き直さないです。1~2日たってからじゃないと、試合で使いたくないんですよね。手になじんで、ちょっとふわふわが出ているぐらいが…って、どれだけ「ふわふわ」にこだわってるんだ! って話ですけど(笑)。
――すごいこだわりを明かしていただき、ありがとうございました。
同じチームの栗原(文音)さんも、私のふわふわグリップを「これいいね!」っていってくれたんですよ。社会人になるまでは人任せにしていたけど、いまは「グリップ巻きは任せてください!」っていえます(笑)
構成/バドミントン・マガジン編集部(取材日1月17日)