バドミントン界にとって「激動」の1年となった2016年。リオ五輪での金メダル獲得といううれしいニュースもあった一方で、代表選手などによる違法賭博問題など、各種メディアを賑わす出来事が多くあった。ここではそんな2016年を、日本代表選手の活躍などを中心に振り返っていく――(第1回)。
1月。バドミントン日本代表選手は、沖縄の地で2016年をスタートした。例年であれば、年始の代表合宿は都内の味の素ナショナルトレーニングセンターで行なわれるが、リオ五輪出場、そしてメダル獲得をめざすJAPANは、屋外で有意義なフィジカル強化が可能となる南国を選んだ。その目的の一つが、朴柱奉体制になってから3回目となる砂浜トレーニングだった。
「年間スケジュール的に、大きな負荷をかけたトレーニングができるのは、この時期しかなかった」と、代表のトレーナーが話すように、選手たちは砂浜で重くなった足を前に踏み出しながら、ひたすら走り、走り、走り込んだ。「砂浜トレは初めて」という選手がほとんどで、休憩時間には地べたに倒れ込む姿もあれば、ビニールに入れた氷を両脚にあてがい、テープでぐるぐるに巻きつける選手もいたほどだ。取材公開は初日、2日目のみだったが、序盤ですでに疲労困憊の選手が目立っていた。
■「これだけやったことが今後の自信につながる」(高橋)
砂浜練習を終えた後の合同取材。メダル候補として期待される高橋礼華は、辛いトレーニングについてこう語った。「きついけど、これだけやったというのが今後の自信につながるはず」。
前年の2015年は、高橋/松友美佐紀にとって決して好調を持続できたシーズンではなく 、むしろ後半は苦しい結果が続いていた。ケガなどでコンディションが整わず、世界ランク1位のペアから珍しく焦りも感じられたほどだ。
復調をめざす2人にとって、沖縄での厳しいトレーニングは浮上のきっかけとしたかったはず。練習では決して手を抜かず、目の前のあるべき課題に向き合って励んだ努力は、すぐ先の伝統の大会で花開くこととなる。<続く>