11月29日(火)から、バドミントンの日本一を決める第70回全日本総合選手権が、東京・代々木第2体育館で開催される。ここでは『バドミントン・マガジン』12月号で掲載した全日本総合の展望記事を、種目別に分けて特別紹介する。
第1回/男子ダブルス
実力ペアがひしめく大混戦。
連覇か、雪辱か。それとも…?
これまで日本の男子ダブルスをけん引した早川賢一が、11月1日付で日本代表を引退した。プレーは続けながらも「後輩たちを育てる」(早川)ことにシフトチェンジするというが、日本が誇るエースペアが解消されたことで、男子ダブルスの勢力図は大きく変わることになりそうだ。
この群雄割拠のなかで、優勝候補の一番手として名前があがるのは、前回の総合王者・園田啓悟/嘉村健士だろう。今年3月に始まったSSでは、4月のシンガポールOPで初の決勝進出を果たし準優勝を飾ったほか、9月以降のSS後半戦では6戦連続で8強以上の成績を残した。そして今年最後のSSである香港OPでは、デンマークペアを下して見事SS初優勝。序盤で簡単に負けなくなったうえ、年間を通して高いパフォーマンスを発揮できるようになった。進化する王者の戦いぶりに注目が集まる。
この二人を追うのが、同じトナミ運輸の後輩・保木卓朗/小林優吾、初Vをねらう井上拓斗/金子祐樹だ。保木/小林は前回大会で準優勝の好成績を収め、今年の6月からA代表に昇格。昇格前には日本代表としてトマス杯も経験しており、経験値も高い。前回の準優勝がフロックでないことを示すため、気迫を前面に押し出して戦いたい。
一方の井上/金子は、全国優勝から長く遠ざかっており、そろそろ勝利の美酒を味わいたいところ。得意のスピード合戦からミスなく詰めきれば、勝利はおのずとついてくるはず。
また、この上位陣に割って入るパワーと勢いを併せ持つのが、遠藤大由と期待のホープ・渡辺勇大のペア。
二人が公式戦でペアを組んだのは、今年の全日本実業団と社会人。社会人においては「ほぼノー練習」(遠藤)で優勝を果たすなど、個々の力の高さを証明した。今回はコンビネーションを高めて臨んでくるだけに侮れない存在。周囲が牽けん制し合うなか、遠藤/渡辺が一気に優勝をつかみとる可能性も十分に考えられる。「まだまだ県大会レベルみたいなもの」と、遠藤はペアの出来をこう評価するが、ポテンシャルは間違いなく世界レベルといっていいだろう。
このほか、国内大会でコンスタントに上位成績を積み重ねるベテランの佐伯祐行/垰畑亮太や、社会人3位、そして日本B代表の島田大輝/竹内義憲も当然、上位をねらってくるはず。一発勝負の戦いを勝ち抜くため、強い決意で臨みたい。
◆過去5大会のファイナリスト
2011年 優勝◎平田/橋本(トナミ運輸)2位○早川/遠藤(日本ユニシス)
2012年 優勝◎早川/遠藤 2位○平田/橋本
2013年 優勝◎早川/遠藤 2位○平田/橋本
2014年 優勝◎早川/遠藤 2位○平田/橋本
2015年 優勝◎園田/嘉村(トナミ運輸)2位○保木/小林(トナミ運輸)
文/バドミントン・マガジン編集部(本稿はバド×スピ!に掲載するにあたり、一部加筆・修正をしています)