10月20日に開催された全日本学生選手権(千葉ポートアリーナ)は個人戦の準決勝、決勝戦が行なわれ、2016年の学生チャンピオンが決定した。ここでは、男子シングルスをダイジェストで振り返ろう。
【男子シングルス】
中央大・西本拳太の4連覇なるか――ここに注目が集まった男子シングルス。しかし、この大記録を止めたのは、同じ中大の後輩である五十嵐優。今年5月の日本ランキングサーキット優勝、そしてナショナルB代表に選出された3年生が先輩の前に立ちはだかり、学生王者の称号を手にした。
準決勝は、優勝候補筆頭の西本と早稲田大の2年生エース・古賀穂が対戦。もう一つは、五十嵐と同じ中大で、さらに同学年でもある大関修平が激突した。
西本VS古賀の対決は、西本が第1ゲームで主導権をつかんで先制。第2ゲームの出だしも西本が安定したプレーで得点を重ねたが、中盤から古賀もスピードを上げて応戦。「第2ゲームは西本さんのミスもあったけど、自分がスピードを上げたときはよかったし、ラリーもしっかりできたと思う」と古賀。アグレッシブに攻めて好ラリーを展開したが、「ラリーではいいところもあったけど、最後まで自分のペースではなかった」(古賀)と、要所でのポイントを奪ったのは西本だった。最上級生らしく巧みに試合を運ぶと、最後は21−16で古賀を振り切って決勝進出を決めた。
一方の同校対決は、第1ゲームを21−15で奪った五十嵐に対して、大関が意地を見せる。第2ゲームは大関がねばり強くシャトルに食らいつくと、後半で抜け出し1−1のイーブンに。すると第3ゲーム、よい流れをつかんだ大関が積極的に仕掛けて再び五十嵐との接戦に持ち込んだが、ここで冷静だったのは五十嵐だった。慌てずネットプレーから好機をつかむと、終盤で点差を広げ21−16で勝利。五十嵐が決勝の切符を手にした。
2年連続同じカードとなった西本と五十嵐の決勝戦。勝負は互いに1ゲームを奪い、ファイナル勝負にもつれた。第3ゲーム、先に抜け出したのは3年生の五十嵐。西本のアウトミスやロブが甘くなったところを見逃さず大量リードを奪うと、最後は西本の猛追を振りきってV達成。五十嵐が先輩との勝負を制して、見事インカレ初制覇を遂げた。
▼準決勝
西本拳太(中央大④)2〔21−6、21−16〕0古賀穂(早稲田大②)
五十嵐優(中央大③)2〔21−15、17−21、21−16〕1大関修平(中央大③)
▼決勝
五十嵐優2〔21−12、7−21、21−19〕1西本拳太
男子シングルス優勝:五十嵐優(中央大)
「優勝できてうれしいのと、ホッとしたという気持ちです。去年決勝で負けてから1年間、勝つことを考えて人一倍練習を頑張ってきたことや、応援してくれる人の思いを背負っていることを思い出して、最後まであきらめずに戦い抜くことができました。今年の全日本総合は、誰が優勝するのかわからない状況です。そういうなか、『自分が優勝するんだ』という強い気持ちを持って頑張りたいと思っています」
準優勝:西本拳太(中央大)
「4連覇を甘く見ていたわけではないです。決勝は相手に勢いもありましたし、勝ちたい気持ちが伝わってきて……自分は思うように体が動かなくなった感じがありました。ファイナルゲームは(大量リードされてから)追いつけたのはよかったと思います。ただ、そこで勝てなかったのが自分の弱さ。4連覇できずに悔しいですが、やっと終わった、という気持ちも大きいです。
インカレに出場するまで、チームのみんなや、たくさんの方々に迷惑をかけてしまいました。でも、多くの方々の応援があって、ここまでこられたと思っています。日本代表を外れて、処分があって、練習ができることや大会に出られること、応援してもらえること……それがどれだけ幸せであるかを強く感じました。そういったことに感謝して、これからもっと上をめざしていきたいです」