5月22日に開催された世界国・地域別対抗戦トマス杯・ユーバー杯(中国・昆山)最終日は、トマス杯決勝戦が行なわれた。ここでは決勝戦のダイジェストをお送りしよう。
【決勝戦ダイジェスト】
20日に開催された準決勝から、中1日で行なわれたトマス杯の最終決戦。この舞台に立ったのは、前回ファイナリストの日本とマレーシアに連勝したデンマークと、地元・中国を破った韓国を下して勝ち上がったインドネシア。それぞれ苦しい戦いを勝ち抜き、念願の優勝まであと“1勝”の位置まで勝ち上がった。
デンマークは今大会5戦4勝のビクター・アクセルセンがトップシングルスに立ち、トップダブルスは準決勝で黒星を喫したベテランのボーをベンチに下げ、ピーターセン/コールディングに託す。第2シングルスは準決勝で一度スタメンから外したヤン・O・ヨルゲンセン、第2ダブルスには若手のアルストップ/ラスムセン、そして最後の砦にはH・K・ヴィッテンフスを置いて悲願の初優勝をねらう。
対するインドネシアは、世界ランク上位のトミー・スギアルトをトップシングルスに起用し、勝負をかける。続いて世界ランク2位のセティアワン/アッサン、ギンティン・アンソニー、プラタマ/スワルディ、I・M・ムストファを配し、7大会ぶり14度目の頂点をめざした。
勝負の流れを決める第1シングルス。この大事な場面で白星をあげたのはデンマークのエースだった。ビクターは高い集中力でペースをつかみ17本で第1ゲームを奪うと、第2ゲームも後半に一気に流れをつかみ、6連続ポイントで振り切って勝利。中国語を話せるビクターを応援する地元ファンを味方につけ、最後はその声援をパワーに変えて畳みかけた。
続く第2ダブルスはインドネシアに軍配が上がった。負けられない状況下でセティアワン/アッサンはアグレッシブかつ冷静にラリーの構築し快勝。勝敗を1-1に戻して後続に勝利を託す。
しかし、第2シングルスはヨルゲンセンが格の違いを見せつける形で勝利を飾り、デンマークが再び先行。優勝まであと1ポイントとし、インドネシアに大きなプレッシャーをかけた。
だが、これで終わらないのが今回のトマス杯だ。追い風は完全にデンマークだったが、第2ダブルスは王国復活をねらうインドネシアのプラタマ/スワルディが意地を見せた。気迫を見せるアストルップ/ラスムセンに対し、インドネシアペアは卓越したテクニックで攻撃をさばき、逆に自分たちの得点を重ねていく。最後はインドネシアペアが勝利ポイントをあげ、再び2−2のイーブンに。勝負の行方は第3シングルスにゆだねられた。
この重圧のかかる場面でタフなメンタルを示したのはデンマークのヴィッテンフス。準々決勝の日本戦でも最後の砦として勝利を決めた強いハートの持ち主は、決勝でもその勝負強さを存分に発揮した。ショットの精度も高く、ミスの少ないプレーで第1ゲームを先制。第2ゲームは、重圧から要所でミスを重ねるムストファを序盤から引き離し、わずか7本でヴィッテンフスが勝利を決めた。
大接戦を制したデンマークは5大会ぶりに上がった決勝の舞台で、悲願のトマス杯初優勝。過去8度、乗り越えられなかった決勝の壁を、ついに破った。
▼試合結果
デンマーク 3−2 インドネシア
ビクター・アクセルセン②〔21−17、21-18〕0●トミー・スギアルト
ピーターセン/コールディング●0〔18−21、13−21〕②セティアワン/アッサン
ヤン・O・ヨルゲンセン②〔21-17、21-12〕0●ギンティン・アンソニー
アストルップ/ラスムセン0●〔16-21、14-21〕②プラタマ/スワルディ
②〔21-15、21-7〕●0イーサン・マウラナ・ムストファ