バドミントンにおいて、ラケットはプレーヤーの「手」と同じ役割を果たすといっていい。
そのラケットのなかでも「グリップ」は、選手によってテープの素材や巻き方が異なり、
独自性が出やすい部分だ。ここでは、トップ選手のグリップへの「こだわり」に迫る。
わたなべ・こうき/1999年1月29日、埼玉県生まれ。大袋北小(出羽バドミンタンクラブ)-埼玉栄中。主な成績は’10ABC大会単3位、’12全中複優勝、全日本ジュニア新人の部優勝、’13全中単優勝、’15インターハイ単3位、全日本ジュニア単優勝・複3位など。 ’16高校選抜では団体、個人単複3冠を達成した。165㎝60㎏、血液型A。
「つねに同じところで握るために、グリップエンドの膨らみが大切」
――グリップに対するこだわりはありますか?
こだわりはあるほうだと思います。僕の場合、グリップテープの巻き方や、握ったときの太さなどでプレーが変わってしまうので…。中学1・2年生の頃は無頓着だったのですが、中3のときに巻き方などを変えるようになってから、持ちやすさの違いに気がつきました。
――どんなこだわりがありますか?
一つは、季節でグリップテープを使い分けているところです。一般的に、使い分けるなら夏は汗を吸収するタオル、冬はウエットだと思いますが、僕はなぜか逆。夏はウエットで、冬はタオルがいいんです。以前、夏にタオルを使ったとき、汗で滑ってしまう感覚が嫌だなと感じて。ウエットだと、それをあまり感じない。僕の手はおかしいのかもしれません(笑)。
――巻き方についてはいかがでしょうか。
最初に巻かれているものをはがして、テーピングのテープを巻いてからグリップテープを巻いています。アンダーラップの上にグリップテープを巻かないのは、張り替えるときに一緒にはがれてしまうから。でもテーピングだと、はがれずにそのまま使えるので、張り替えが楽です。
――グリップエンドに膨らみを持たせているように見えます。
僕は試合中、つねに同じところでグリップを握りたい。握る場所が変わると、プレーが変わってしまう感覚があるんです。だから、グリップエンドの膨らみは大切。これがないとラケットが抜けてしまう感覚がありますが、それをグッと止められるので、つねに同じところで握ることができます。
――そのほかのこだわりは。
凸凹に巻くところですね。多くの人はテープを重ねずにキレイに巻くと思いますが、僕はテープを少し重ねて凸凹させるのが好み。グリップエンドの膨らみと同じで、これがないとラケットが手からすっぽ抜けていくような感じがあるんです。いまの状態(写真)は潰れて馴染んできているので、見た目にはわかりにくいですが…。

――グリップの端の部分が不規則なのも特徴ですね。
トップ選手と同じように巻いてます。理由は……感覚ですね。上までしっかり巻くと、なんか違うんです。この不規則な部分に親指を引っかけるわけではないですし、指が触れることはないです。たぶん桃田さんと同じだと思います。
――ダブルスでは巻き方は違いますか?
「全然違います。まずラケット自体が違いますし、タオルは使いません。ダブルスだと、やりにくさがあるんです。グリップテープも上部の三角部分まで巻いています。使い分けには結構こだわっていますね」
――太さに関してはいかがでしょうか。
これはシングルスもダブルスも一緒で、細くないとダメです。グリップは、しっかり力強く握りたい。細いほうが手に力が入って、力をシャトルに伝えやすいと思います。

