【注目選手】世界トップクラスの実力を持つ髙橋&松友に期待! <女子ダブルス>

年々バドミントンへの注目度が高まっている。2016年はリオデジャネイロ五輪のほか、トマス杯・ユーバー杯などビッグイベントが開催され、日本選手の活躍によってはさらにバドミントン熱がヒートアップすることは間違いない。

今回はバドミントンを長年見続けているライターの美郷茂樹氏に、女子ダブルスで活躍が見込まれる選手を紹介してもらった。

 

メダルの期待が高まる髙橋&松友

 

女子ダブルスは昔から世界で活躍してきた種目だが、バドミントン界に一大ブームを巻き起こした「オグシオ」によって、さらに認知度が高まった。2012年ロンドンオリンピックで銀メダルを獲得したのも、藤井瑞希/垣岩令佳の女子ダブルス。最近では国際大会で活躍するペアが増えており、世界ランキングでも数ペアの日本選手がTOP20以内に入ることも珍しくはない。

 

強き女子ダブルスを系譜する日本選手のなかで、リオデジャネイロオリンピック最大の期待は、世界ランキングで日本最上位に位置する髙橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)だろう。2015年は1年間、世界ランク1位をキープし続けた(現在は4位)。2年前のBWFスーパーシリーズファイナル2014でも見事優勝を果たし、昨年末の同大会では3位入賞を飾っている。高校生の頃からペアを組んで培ったコンビネーションは世界トップクラスであり、その実力、安定感から国内外での人気も高い。全国のバドミントンファンが望む、メダル獲得の期待にも応えてくれる最強エースなだけに、あとはケガなどのアクシデントなくオリンピックを迎えることを祈るばかりだ。

メダルの期待度が高い髙橋(右)/松友
メダルの期待度が高い髙橋(右)/松友

 

タカマツの2人に続くのが、2015年世界選手権3位の好成績を残した福万尚子/與猶くるみ、2年前の同大会3位・前田美順/垣岩令佳の再春館製薬所2ペア。そしてペア再結成でオリンピックレースに臨んでいる松尾静香/内藤真実(NTT東日本/ヨネックス)だ。

福万/與猶はこの1年間で着実に力をつけてきた印象。全日本総合でも2年連続で決勝に進んだことで、自信を深めたことだろう。3月から始まるスーパーシリーズでなんとか上位に入り、少しずつ近づいているオリンピックの出場権をつかみたいところだ。

15年は世界選手権3位の好成績を収めた福万(右)/與猶
15年は世界選手権3位の好成績を収めた福万(右)/與猶

 

前田/垣岩はケガの影響もあり、我慢の日々が続いている。昨年12月は全日本総合、スーパーシリーズファイナルを欠場し、無理せずケガの回復に専念した。世界ランキングを下げて苦しい状況ではあるが、2人のこれまでの経験値はどのペアよりも高い。残り4カ月となったオリンピックレースには、相当の覚悟と準備で臨むことだろう。

そして松尾/内藤は、昨年スーパーシリーズ以外の国際大会に多く参戦し、世界ランキングのポイントを稼いできた。世界ランクも福万/與猶、前田/垣岩の2ペアに接近しており、悲願のオリンピック出場も視界に入っている。ここからの踏ん張り次第では、一気に逆転する可能性も十分。タカマツを筆頭にした国内の上位争いも、見応えたっぷりとなりそうだ。

15年はヨネックスOPジャパンで3位入賞の松尾(右)/内藤
15年はヨネックスOPジャパンで3位入賞の松尾(右)/内藤
昨年後半の大会を欠場している前田(奥)/垣岩。復帰戦での活躍に期待
昨年後半の大会を欠場している前田(奥)/垣岩。復帰戦での活躍に期待

 

 

次世代のエース候補となるのは?

 

前述した4ペアはいずれも世界ランク15位以内に位置している。それだけ日本女子ダブルスの選手層は厚く、国内で勝ち抜くことが世界で戦うことに直結するといっても過言ではない。国内での競争は、毎年激しくなるばかりだ。

 

その中で次世代を担うペアをピックアップするのであれば、福島由紀/廣田彩花(再春館製薬所)と永原和可那/松本麻佑(北都銀行)の2組をあげたい。

日本B代表の福島/廣田は1年ごとにステップアップをしており、現在では世界ランキングを23位まで引き上げている(1月19日現在/日本では5番手)。どちらも基本能力は高く、国内大会でも結果を出している。今後は海外での経験を増やしていくことで、さらなるレベルアップが可能なはず。チームの先輩ペアを追い越す気持ちで今年1年を戦い抜いてほしい。

15年はグランプリ大会優勝の成績を収めている福島(左)/廣田
15年はグランプリ大会優勝の成績を収めている福島(左)/廣田

 

これまで大きな注目こそ浴びていないが、永原/松本はこれからが楽しみな存在だ。その理由の一つに挙げられるのが、恵まれた体格。永原は169㎝、松本は177㎝と、2人がコートに立つだけで生まれる“魅力”と“迫力”がある。もちろん身長が高いから勝てるというわけではないが、世界を戦い抜くうえで有利に働くのは間違いない。これまで日本の女子ダブルスが世界と好勝負を演じるなか、勝利にどうしても必要だったのが最後まで押し切るパワー(スマッシュの決定力)でもあった。日本リーグや全日本総合で見せた永原/松本のプレーには、その力が備わっていると感じた。2016年は日本B代表に選出され、国際大会に出場する機会も増えてくる。2人には多くの経験を積み重ねて、さらなる上をめざしてほしい。

高身長ペアの松本(右)/永原。2人の角度あるアタックに注目
高身長ペアの松本(左)/永原。2人の角度あるアタックに注目

さらに、勝手ながら期待を寄せているのが、再春館製薬所への入社が内定している志田千陽(青森山田高)と小野菜保(金沢向陽高)。まだ二人で組むことすらも決まっていないとは思うが、ダブルスを育てることに長けているチームだけに、これからの成長を見守っていきたい。

文/美郷茂樹

■筆者profile
みさと・しげき◎1950年生まれ。高校からバドミントンを始め、社会人でもプレー。国内外トップレベルのバドミントンを、長きにわたって見続けるベテランジャーナリスト。

投稿日:2016/01/19
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