バドミントン界にとって「激動」の1年となった2016年。リオ五輪での金メダル獲得といううれしいニュースもあった一方で、代表選手などによる違法賭博問題など、各種メディアを賑わす出来事が多くあった。ここではそんな2016年を、日本代表選手の活躍などを中心に振り返っていく――(第4回)。
5月。1年間の過酷な五輪レースを戦い抜いた日本代表。その中から5種目9名の選手に、リオ五輪出場の切符が渡った。違法賭博問題が尾を引くなかで開かれた、リオ五輪出場決定の記者会見。桃田に変わって2度目の五輪出場となった男子シングルスの佐々木翔は、「これからは走り出すしかないと思う。(桃田に変わっての出場は)自分の中で複雑に考え過ぎてはいけないし、周りが変わっただけで自分は何も変わっていない。いまのままやり続けて、本番まで頑張っていきたいと思います」と、殊勝に語った。
その他の種目では順当に出場権を獲得していた。女子シングルスでは全英王者の奥原希望、山口茜の2名が、男女ダブルスでは全英ファイナリストの早川賢一/遠藤大由と高橋礼華/松友美佐紀が上位をキープして長い1年を終えている。さらには、当確ラインギリギリだった混合ダブルスの数野健太/栗原文音も、なんとか出場枠にすべり込んでリオ行きを決定させた。
「最後の最後までオリンピックに出られるかわからなかったので、まさか本当に五輪に手が届くとは、というのが率直な気持ちです」とは数野。あきらめずに戦い抜いたご褒美は、最高の結果となって2人の手に渡っている。
しかし、吉報を手にした選手もいれば、その逆に悔し涙を呑んだ選手たちもいる。女子ダブルスの福万尚子/與猶くるみは、出場枠確保まであと一歩に迫ったが、わずかの差で届かなかった。女子シングルスの佐藤冴香も、ロンドン五輪に続く2度目の出場をめざしたが、前を行く奥原、山口の2人を捕らえきれず。世界ランキングの順位を12位(当時)まで押し上げたが、逆転とはならなかった。
■ト杯/ユ杯で見せたJAPANの戸惑い
「シングルスの戦力不足で、チームとしての力が弱まったことが一番の敗因」と日本代表の朴柱奉監督は振り返ったが、前回の優勝国がメダルを逃すのは初めてのこと。日本男子は厳しい現実を突きつけられる結果となった。
一方、前回ユ杯準優勝の女子も、準決勝で強豪の韓国に敗れて銅メダルに終わった。大会前、女王・中国の李永波総監督は「女子チームの最大のライバルは日本」と警戒。世界ランク1位の高橋礼華/松友美佐紀を軸に、SS優勝経験のる奥原希望、山口茜が構える布陣には、35年ぶりの優勝に大きな期待がかかった。
しかし、結果は準決勝敗退。4大会連続のメダル獲得は果たしたものの、ねらっていた優勝の二文字には届かなかった。
「日本は個人の成績や経験はあっても、団体戦での経験が十分ではなかった」と話す朴柱奉監督。国の威信をかけて戦ったユーバー杯優勝は逃した日本女子だったが、この後に控えたリオ五輪では、最高の結果を世界に示すことになる。<続く>