12月９日からスーパーシリーズファイナル（UAE・ドバイ）が開幕する。この大会は年間12大会あるスーパーシリーズ（３月〜11月）で獲得したポイントの上位８名（組）によって争われる、バドミントンの年間チャンピオン決定戦だ。賞金総額100万ドル（約１億2000万円）のビッグトーナメントには、日本から男子シングルスの桃田賢斗、女子シングルスの奥原希望、男子ダブルスの早川賢一／遠藤大由、女子ダブルス髙橋礼華／松友美佐紀、福万尚子／與猶くるみの８名が出場する。
ここでは、日本選手を中心に女子ダブルスを展望しよう。
【女子ダブルス】
昨年のスーパーシリーズファイナルで優勝を遂げている髙橋礼華／松友美佐紀はグループAに入った。また、前田美順／垣岩令佳の辞退によって、代わりに出場権を獲得した福万尚子／與猶くるみも、同じくグループAに名前を連ねている。日本の２ペアは、このほかに駱贏／駱羽（中国）、金昭英／蔡侑玎（韓国）と対戦する。
９〜10月のSSで低迷した髙橋／松友は、11月の中国OPで準優勝を飾るなど、調子が上向いている。持ち前の攻撃力が戻ってきた印象で、その土台を支える守備にも安定感がでてきている。世界ランク１位の実力を取り戻してきた２人にとっては、グループAは比較的に戦いやすいメンバーだ。2人の対戦成績は以下の通り。
髙橋／松友 ２勝１敗 福万／與猶（12月９日に対戦）
髙橋／松友 ２勝０敗 金昭英／蔡侑玎（12月10日に対戦）
髙橋／松友 ４勝１敗 駱贏／駱羽（対戦日程は未発表）
髙橋／松友はどのペアにも勝ち越しを決めている。今日の初戦は髙橋／松友と福万／與猶の日本人対決となるが、先週の全日本総合決勝ではタカマツが福万／與猶の２人を圧倒。２−０のストレートで破り、世界ランク１位の貫禄を見せつけた。福万／與猶にとっては初戦から苦しい戦いとなりそうだが、手の内を知っている同士だけに、付け入る隙もあるのは確か。試合序盤での主導権争いがポイントになりそうだ。
髙橋／松友の第２戦は韓国の金昭英／蔡侑玎と対戦。現在、韓国国内では３、４番手に位置する２人だが、９月のヨネックスOPジャパンでは３位入賞を果たすなど、実績も上位２ペア（張藝娜／李紹希、鄭景銀／申昇瓚）に負けてはいない。上位２組は今年のレース途中にペアを組み替えたためSSのポイントが低く、今回は金昭英／蔡侑玎のみが出場となる。韓国ペアにとっては、五輪出場のためには是が非でも上位をつかみたい気持ちが強いはず。タカマツは相手の勢いをしっかり止めて、自分たちの攻撃スタイルに持ち込んで勝利をつかみたい。
第３戦はグループリーグ最難関となる駱贏／駱羽。しかし、これまでは５戦４勝と髙橋／松友が先行しており、近況の調子をみてもタカマツに分がある。３月のインドOP決勝戦以来２組は対戦していないが、秋の不調を乗り越えた日本のエースとしては、白星を３つ並べて準決勝に進みたいところだろう。
前田美順／垣岩令佳の欠場で出場権を獲得した福万／與猶だが、SS年間順位では８位に位置していた。今年から本格的にSS参戦してこの順位は立派。11月下旬の香港OPでは３位入賞を果たし、勢いに乗ってもいる。
福万／與猶 １勝２敗 髙橋／松友（12月９日に対戦）
福万／與猶 １勝２敗 駱贏／駱羽（12月10日に対戦）
福万／與猶 初顔合わせ 金昭英／蔡侑玎（対戦日は未発表）
髙橋／松友戦については前述した通りだが、福万／與猶のポイントは駱贏／駱羽戦だろう。１勝２敗の成績ではあるが、この１勝は８月の世界選手権銅メダルを獲得したときに手にした白星だ。このときファイナルゲームでねばり勝ちした福万／與猶は、「駱贏／駱羽はすごい攻撃力があるわけではないので、戦い方も私たちと似ている部分がある」と分析。ローテーションがうまい中国ペアだが、福万／與猶も堅実な守備からチャンスを作れば勝利がみえてくる。
第３戦の韓国ペアは、今回が初対戦。フィジカルが強い韓国ペアに対し、福万／與猶がしつこくラリー勝負に持ち込めば、相手の集中力が切れてミスが増えるはず。金昭英／蔡侑玎は大崩れしないが、かといって大きな爆発力があるペアではない。福万／與猶はここで勝ち星つかみ、上位進出を決めたいところだ。
なお、スーパーシリーズファイナルが開催されるドバイと日本の時差は５時間。日本選手８名全員が登場する初日は、日本時間・午後６時過ぎから早川賢一／遠藤大由の試合が始まる。そのあとに桃田賢斗、奥原希望、髙橋／松友と福万／與猶が試合を行なう予定だ。
※対戦成績は世界バドミントン連盟発表のデータ。世界ジュニアなどの対戦成績は含まれていない。