12月9日からスーパーシリーズファイナル(UAE・ドバイ)が開幕する。この大会は年間12大会あるスーパーシリーズ(3月〜11月)で獲得したポイントの上位8名(組)によって争われる、バドミントンの年間チャンピオン決定戦だ。賞金総額100万ドル(約1億2000万円)のビッグトーナメントには、日本から男子シングルスの桃田賢斗、女子シングルスの奥原希望、男子ダブルスの早川賢一/遠藤大由、女子ダブルス髙橋礼華/松友美佐紀、福万尚子/與猶くるみの8名が出場する。
試合は8名(組)が2つのグループリーグに分けられ、各グループ上位2名(組)が準決勝に進出できる。この大会の出場者には世界ランキングポイントが与えられ、リーグで敗れてもSSプレミア8強と同じ6050P、準決勝に進むと7700P、決勝に勝てば11000P、準優勝で9350Pを手にすることができる。五輪レース参戦中の選手にとっては、高ポイントを獲得できる貴重な大会でもある。
ここでは、日本選手を中心に男子シングルス、女子シングルスを展望しよう。
【男子シングルス】
先週の全日本総合で優勝を果たし、ついに日本のエースに君臨した桃田賢斗は、Bグループに入った。対戦相手はビクター・アクセルセン(デンマーク)、周天成(台湾)、スリカンス・K.(インド)の3選手。各選手とのこれまでの対戦成績(※)は以下の通り。
桃田 3勝3敗 スリカンス・K.(12月9日に対戦)
桃田 2勝1敗 周天成(12月10日に対戦)
桃田 3勝1敗 ビクター・アクセルセン(対戦日は未発表)
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初戦で戦うスリカンスとは今のところ勝敗を分けてはいるが、3月のインドOP以来対戦はなく、約9カ月ぶりの試合となる。桃田は4月のシンガポールOPでの優勝を皮切りに、6月のインドネシアOP優勝、8月の世界選手権3位という成績を残しており、3月に対戦したときよりは間違いなくパワーアップしている。スリカンスも直近の大会では好成績に恵まれず、桃田にとってはここで勝ち星を一つとりたいところだ。
第2戦で戦うのは台湾のエースに成長した周天成。桃田にとってはここが重要なポイントになりそう。というのも、2人の対戦成績は桃田が2勝1敗で勝ち越しているものの、10月のデンマークOP準々決勝では、ファイナル勝負で桃田が敗れている。実力的には同等の力とみてもいいが、全日本総合からの疲労度を考えると、桃田の方が体力的に厳しい見方もある。また、この後の第3戦で戦う相手は、桃田の同世代のライバルとして知られるビクター・アクセルセン。2人は世界ジュニア時代から互いに意識して戦っており、アクセルセンも「桃田の結果は気になるし、いい刺激にもなっている」と語っている。ガチンコ勝負が予想されるだけに、桃田にとっては1、2戦で勝利し、決勝トーナメント進出を決めた状態でアクセルセンとの勝負に挑みたいところだ。
【女子シングルス】
桃田と同じく総合で日本一に輝いた奥原希望は、キャロリーナ・マリーン(スペイン)、サイナ・ネワール(インド)、戴資穎(台湾)のAグループに入った。3選手との対戦成績は以下の通り。
奥原 4敗 サイナ・ネワール(12月9日に対戦)
奥原 2勝2敗 戴資穎(12月10日に対戦)
奥原 1勝2敗 キャロリーナ・マリーン(対戦日は未発表)
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第1戦で戦うサイナ・ネワールは、今年の世界選手権準優勝の実績がある相手。対戦成績もこれまで4戦全敗となっており、11月の中国OPでもストレートで敗戦した。ねばり強くシャトルを拾うプレースタイルは奥原と似たタイプではあるが、サイナは強烈なスマッシュ力を持っている。奥原はこの攻撃を辛抱強くレシーブすることが打開策の一つとなりそうだが、勝利のチャンスが少ないわけでもない。サイナは9月のヨネックスOPジャパン(東京)と、デンマークOPで日本の三谷美菜津に2連敗している。三谷はYOJでレシーブから好機を作って勝利をもぎ取っただけに、奥原も相手のスマッシュをうまくさばいてポイントにつなげれば、格上相手にも十分勝機が見えてくるはずだ。
第2戦の戴資穎は、奥原と同世代のライバルだ。SS優勝経験のある戴資穎は、高いレベルのオールラウンダーとして活躍。フィジカルも強く、昨年のこの大会のチャンピオンでもある。勝負所での強さにも定評があるが、ここ最近はSS優勝から遠ざかっている。秋以降の勢いでいえば奥原に分がありそうだが、苦しい戦いになるのは間違いない。
そして第3戦は世界女王のキャロリーナ・マリーンとの対戦が待っている。これまでの対戦では奥原が1勝2敗としているが、直近の2戦では連敗をしている。だが、11月下旬の香港OPではファイナルゲーム20−22の接戦を演じており、奥原にも勝機がないわけでもない。仮にマリーンが2連勝で準決勝進出を確実にしていれば、奥原との第3戦は体力温存を考えながら試合をする可能性もある。今年は無類の強さを発揮している女王を崩すのは確かに困難だが、少ないチャンスを生かしてなんとか上位に勝ち進みたいところだ。
※対戦成績は世界バドミントン連盟発表のデータ。世界ジュニアなどの対戦成績は含まれていない。