バドミントンにおいて、ラケットはプレーヤーの「手」と同じ役割を果たすといっていい。そのラケットのなかでも「グリップ」は、選手によってテープの素材や巻き方が異なり、独自性が出やすい部分だ。今回は特別編として、京都インターハイで大活躍をした渡辺勇大&三橋健也ペアの、グリップに対する考えを紹介しよう。
[連載]Vol.4 渡辺勇大&三橋健也(富岡高)
わたなべ・ゆうた(写真右)/1997年6月13日、東京都生まれ。桃井第一小(小平ジュニア)‐富岡第一中。主な戦績は’14アジアユースU19複3位、選抜複優勝、世界ジュニア混合複3位、IH複2位、JOC単複優勝、’15選抜単複優勝、ランキングサーキット混合複優勝、インターハイ単複優勝など。164㎝52kg、血液型B。
みつはし・けんや(写真左)/1997年7月11日、群馬県生まれ。前橋東小(前橋東クラブ)‐富岡第一中。主な成績は’08’09全小単優勝、’12全中単優勝、’14アジアユースU19複3位、IH複2位、JOC複優勝・単2位、’14’15選抜複優勝、インターハイ単3位、複優勝など。171cm、66kg。
こだわらない渡辺と、こだわる三橋
――まずはラケットに対するこだわりを教えてください。
渡辺「全体的に、僕はグッズに対するこだわりがあまりありません。プレーするのは自分なので、こだわる部分は“そこ”ではない…という考えなんです。見せるべきは、やはり自分のプレーだと思うので」
三橋「僕は技術がないから(笑)、ラケットには細かなこだわりを持っていますね。たとえばストリング。張りたては『パンッ』と弾き過ぎてしまうので、あまり好きではないんです。使いながら3日くらい経った頃がベストの状態です!」
――プレースタイルや性格からは一見、三橋選手より渡辺選手のほうが『こだわり派』だと思っていたので驚きました! では、グリップに対してはいかがでしょう。
渡辺「こだわりがないので、いたってシンプルです(笑)。ほとんどのトップ選手がやっているように、もともとのグリップを剥がしてからアンダーラップを巻いて、ウェットタイプのテープを巻くだけですね。ただ、グリップエンドは、第1回で紹介されていた桃田先輩(賢斗/NTT東日本)のように太めにします。あとはグリップテープがなくなるまで巻くだけで、ちょうどグリップとシャフトの間の三角部分(キャップ)で終わりますね。ダブルスとシングルスで使い分けもしません」
三橋「僕はダブルスとシングルスで巻き方を少し変えています。元々のグリップを剥がしてからアンダーラップを巻いて、グリップエンドを太めにして“コブ”を作るのは同じですが、ダブルスのほうはシャフトの中央くらいまで巻いて、シングルスのほうは三角の部分まで巻きます。グリップテープは、絶対にタオル派! 非常時以外は絶対に黄色です。ちなみに、タオルグリップをボンバーさせた状態(写真参照)が好きですね。見た目は汚らしいですが…(笑)」
グリップの“こだわり”に関しては、考え方が正反対ともいえる渡辺と三橋だが、抜群のコンビネーションで高校No.1に立った。今後もその勢いを力に変えて、さらなる飛躍に期待したい。
(構成/バドミントン・マガジン編集部 取材日:6月4日)