8月12日に世界選手権(インドネシア・ジャカルタ)3日目が行なわれた。女子ダブルスは髙橋礼華/松友美佐紀ほか、前田美順/垣岩令佳、松尾静香/内藤真実、福万尚子/與猶くるみら3ペアも勝利し、3回戦に進んだ。
ここでは女子ダブルス3ペアの活躍を紹介しよう。
【女子ダブルス】
前田美順/垣岩令佳②〔17−21、21−11、21—13〕1●デルフィン・ロンサッキ/エミリー・ルッフェル(フランス)65分
格下相手に苦しい戦いとなった。垣岩が7月に右ヒザの手術を行ない、状態はベストではない。この日の出場の可否も「今日の様子を見て決めたくらいです。トレーナーさんにも『どこで棄権させるかわからない』といわれてました」。踏み込みのときには、ヒザや足に痛みが走るほどだった。
しかし、いざ試合に入れば自分の力を出し切ろうとするのがアスリートの本音だろう。「跳んではいけないといわれたけど跳んでしまった(苦笑)」と垣岩がいうが、1ゲームはケガを意識するあまり、前田とのコンビネーションがチグハグに。前田も「垣岩のケガを意識しすぎたり、2人で決めていた動きを忘れてしまった」と、攻守でミスが目立ち、1ゲームは世界ランクでは下位の相手に奪われてしまう。
それでも、世界上位に立つ2人の修正力はさすが。2、3ゲームはサービスまわりから相手に主導権を握らせず、落ち着いてラリーを展開。荒さが目立つフランスペアは、前田/垣岩のレシーブにリズムを崩して失速。なんとか調子を取り戻した前田/垣岩が辛くも勝利をつかんだ。
勝ちはしたものの、ネット前のショットに対する垣岩の反応は芳しくない。次戦も苦しい試合が予想される。
垣岩令佳のコメント
「(7月の手術後)世界選手権を目標にやってきたけど、膝を手術して間に合うのかな? とは思ってました。実業団、USオープンも棄権して、これで世界選手権を棄権したら頑張っていた前田先輩のダメージも大きいと思いましたし、ヨネックスOPを復帰戦にしてもいいかなと思ったけど、それだと(期間が)長すぎるし、だから自分のなかで目標がないとリハビリも頑張れないので、しっかりリハビリをして(世界選手権に)臨もうと思った。
今日の試合も状態を見て直前で決めた。トレーナーさんにも『どこで棄権させるかわからないよ』といわれていたけど、その状態でなんとか勝ってよかったと思います。痛みはあるけども試合をすれば忘れます。跳んではダメといわれていたけど、思わず跳んでしまった。試合中に『跳ばない方がいい』といわれて、そうしました」
前田美順のコメント
「私が垣岩より動かないといけないけど、そんなに器用ではないので、1カ所、2カ所で決め事を作って、それをしっかりやろうと思ってました。実際にやってみて、それで取れないなら仕方がないよね、と練習から話していたんです。ただ、実際はコートにはいるとテンパってしまって…。決めたこともできなかったです。ただラリーしてしまったり、自分が前に入って速いラリーになってしまいました。結局、垣岩をカバーしないといけないのに、カバーさせてしまった。それで私自身が穴に入ってしまって、マイナス感じになったんです。その後のラリーもすぐに切り替えができなかった」
1ゲーム目は垣岩にカバーしてもらって申し訳なかったけど、逆に動けるというのがわかったので、抜けたとしても大丈夫と思ってプレーするようにした。サーブまわりで点が入ったのはよかったかな。そうやって気持ちの面でも余裕ができて、2ゲーム以降につながりました」
松尾静香/内藤真実②〔21−17、21−19〕0●ガードレ/レディー(インド)43分
2011年以来4年ぶりの世界選手権となった松尾/内藤。シードということもあり2回戦からの登場で、その初戦の相手はインドの2番手で左右ペアのガードレ/レディー。独特のリズムを持つペアだが、松尾/内藤は1ゲームから一気に攻めて立て13—4と大量リード。中盤相手に連続得点を奪われたが、そのまま押し切って1ゲームをつかむ。2ゲームは逆に13—14から点の取り合いとなったが、落ち着いて攻め切った松尾/内藤が18—19から3連続得点で逆転勝利。前回8強だった強力ペアが、3回戦に進出した。
内藤真実
「1ゲーム目は球が走るので、攻撃すれば相手が守れないのかな、と思って攻めました。それが効いていた。2ゲーム目は球のスピードが落ちているので、ドライブでとられたり、カウンターを受けたりしてしまった。2人の準備だったり、インアウトの見極めが甘かったかなと思います。(風下のコートは)やりにくいというかショットが見えにくい。2ゲームで接戦になったのは、私たちのロブなどが奥に返せなかったから相手に攻撃されてしまいました」
松尾静香
「相手は左右ペアなのでそこは注意しようと話はしていました。あとは左利きの選手が混合ダブルスをやっているので、前に思い切って入ってくるから、そこも気をつけました。ここの体育館は5、6回目ですが、昨年きたときと室内の作りが違っている。雰囲気が違う印象です」
福万尚子/與猶くるみ②〔21−13、21−11〕0●フー/ウーン(マレーシア)40分
初めての世界選手権でも堂々とした戦いぶりだった。1回戦はロシアペアが大会前のケガの影響で棄権。2回戦からの登場となったが、マレーシアの1番手ペアにも臆せず戦った福万/與猶が、世界選手権・初勝利を勝ち取った。
1ゲーム序盤から攻撃が冴えていた。どの選手も苦しんでいる「風」のことを考えて、ドライブやプッシュなどの沈める球を意識しながら戦うと、11—11から5連続得点などで一気に抜け出す。
第2ゲームも日本のリズムは変わらない。福万が「今日は100%の力が出せたと思う」というほど攻撃のテンポがよく、相手に付け入る隙を与えなかった。1ゲームの流れをそのままに、2ゲームも11点で抑えた福万/與猶が見事勝利をつかみ3回戦に進出した。
福万尚子のコメント
「私たちは今年A代表に入ったので、どの大会も“初”出場。1回目は大事だと思うので、どの大会でも大事にしたいと思っていた。今回もその思いで1回戦に臨んだら、最初からいい入りができたと思います。風があるので、沈めていくショットを打っていこうと思っていました。あとは左右ペアなので、相手の得意な形にしないようにしました。今日は100%の力を出せたと思う」
與猶くるみのコメント
「入場するときは緊張したけど、コートに入ればやるだけ。世界選手権に出られた嬉しさが大きかったし、やってやるぞ、という気持ちでした。1月のマレーシアで対戦した相手で、こっちがガンガン攻めていけば勝てるという自信はありました」