We Love Badminton Vol.3 廣瀬栄理子さん(元日本代表)

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元日本代表選手やバドミントン経験を持つ著名人に、バドミントンとの関わりや自身が感じる競技の魅力を語ってもらうこのコーナー。第3回は、全日本総合で5度の優勝、オリンピックにも出場するなど、シングルスプレーヤーとして数々の実績を残し、昨年現役を引退した廣瀬栄理子さんです。

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目標に向かって努力することで、自分自身がすごく成長できた

 

――バドミントンを始めたきっかけを教えてください

廣瀬 小学校の1年生のときに、2つ上の兄がバドミントンをしていて、練習に一緒についていって始めたのがきっかけです。最初は全然ラリーが続かなかったんですけど、ラケットにシャトルが当たるのがすごくうれしくて、すぐに夢中になったのをいまでもよく覚えています。

 

――すぐにシャトルに当てられたというのはすごいですね。

廣瀬 めちゃくちゃうれしかったですし、とにかくシャトルに当たるということがおもしろくて。練習が終わっても自宅の前で、兄とずっと一緒に打っていましたね。

 

――長らくプレーされてきましたが、廣瀬さんにとってバドミントンの魅力とはなんでしょうか?

廣瀬 私は主にシングルスだったんですが、1対1での相手との駆け引きや勝負が大きな魅力だと思っています。

 

――駆け引きとは、具体的にどういうことでしょう?

廣瀬 「ここに打つと、次ここに返ってくるかな」と相手の返球を予測することもそうですし、逆に「ここに返ってくるだろうと思われているところとは違うところに打とう」と相手の考えの裏をかいたりすることですね。ラリーのなかで、自分の戦い方をいろいろと常に変化させていくことが必要だと感じています。体力的にもハードですが、頭もすごく使っているんです。

そういったなかで自分のショットが決まったときはものすごくうれしかったですし、決まらなくても次にどうしようかなとまた考えるのも楽しかったですね。

 

――バドミントンから学んだことといえば、なんでしょうか。

廣瀬 長い間バドミントンをしてきて、試合で勝ったときはもちろんうれしいんですが、負けたときはすごく悔しかったり、悲しかったり、時には落ち込んだりして、ダメかなと思うようなときもありました。

でも、そんな状況になっても次の目標をまた立て、「あの試合で勝ちたい」と思って、それに向かって頑張ったり努力することで、自分自身がすごく成長できたかなと思います。

 

――ダメかなと思ったこともあったんですね。

廣瀬 私自身すごく負けず嫌いなので、試合に負けたときは「もうイヤだ」と思うこともありました。一番難しいと思ったときは、ケガをしたときです。大きなケガを何回かしましたし、北京五輪の前が特にそうで、あのときは先が見えなくなりました(編集部注:北京五輪前年の07年7月、試合中に太モモ裏を筋断裂して戦列から長期離脱)。コンディション的にも本当にゼロの状態になってしまったので、すごく苦しかったですね。

08年北京五輪では前年に負ったケガの影響もありながらベスト16に進出。これはバドミントン正式種目になって以降、女子シングルスでの最高成績
08年北京五輪では前年に負ったケガの影響もありながらベスト16に進出。これはバドミントンが正式種目になって以降、日本女子シングルスでの最高成績

 

――ケガをしていたときは、どのようにバドと向き合っていたんですか。

廣瀬 あのときは自分自身が動けないので、ほかの選手が練習しているのを見るのもつらかったんですが、何よりも自分自身が早く動けるようになって、バドミントンがしたいと気持ちを奮い立たせていました。1日1日、1つ1つを進んでいけるように、ちょっとでも階段を上がっていけるようにという気持ちで過ごしていました。

 

――昨年で現役を退きましたが、今後はどのように活動していきたいと思っていますか。

廣瀬 私自身、引退するまでにたくさんの方にお世話になりましたし、たくさんの方に応援していただいて、選手を続けてこられたと思っているので、自分の経験や知識を少しでも多くの人に伝えていけたらいいですね。どのように活動していくかは、これからいろいろなことをしながら探っていきたいと思いますが、子どもたちともいっしょにバドミントンをしたいですし、何らかの形でバドミントン界に貢献していけたらいいですね。

 

14年の全日本総合の準決勝がラストマッチに。全日本総合女子シングルス5度の優勝は歴代3位タイ
14年の全日本総合の準決勝がラストマッチに。全日本総合女子シングルス5度の優勝は歴代3位タイ

 

――サイトを見ている方にメッセージをいただきたいのですが、プレー経験のない方に対して、バドミントンの魅力をどう伝えますか?

廣瀬 一番は、まず実際にラケットを持ってシャトルを打ってみていただきたいですね。見ているよりも、想像しているよりも、おもしろいと思います。また、いまはテレビでもバドミントンが取り上げられる機会が増えているので、それを見ていただくだけでも、おもしろさが感じられるのではないでしょうか。

 

――プレーヤーの皆さんにもメッセージをお願いします。

廣瀬 私自身、現役時代はいいときも悪いときもありましたし、本当にいろいろなことがありましたが、一番はバドミントンが好きだったから長い間続けてこられましたが、常に目標を持って、それに向かって頑張ってきたことも大きかったと思っています。

皆さんもプレーしていれば、「今日は調子がいいな」とか「今日は調子が悪いな」とか、うまくいくとき、うまくいかないときがあると思いますが、自分の目標に向かって努力を続ければ、必ず次につながっていくはずです。その気持ちを大切にしてもらえればいいなと思います。

 

(構成/バドミントン・マガジン編集部)

 

ひろせ・えりこ◎1985年3月16日生まれ。兵庫県出身。青森山田高を卒業後、三洋電機に入社、13年にヨネックスへ。04年に全日本総合シングルス初優勝を果たすと、その後08年~10年の3連覇を含む5度の優勝。05年には全英OPで日本勢18年ぶりのベスト4、08年北京五輪16強、10年アジア大会3位など女子シングルスの第一人者として活躍した。14年全日本総合後、引退を発表。現在はバドミントンの普及などを中心にした活動をスタートさせている。

投稿日:2015/08/08
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