バドミントンにおいて、ラケットはプレーヤーの「手」と同じ役割を果たすといっていい。そのラケットのなかでも「グリップ」は、選手によってテープの素材や巻き方が異なり、独自性が出やすい部分だ。ここでは、トップ選手のグリップへの「こだわり」に迫る。
[連載] Vol.3 田児賢一(NTT東日本)
たご・けんいち/1989年7月16日生まれ、埼玉県出身
埼玉栄中―埼玉栄高―NTT東日本。175㎝、右利き、O型
アジアジュニアでは日本人初となる優勝、世界ジュニアでは同じく当時史上最高となる準優勝、全日本総合最年少優勝&最多連覇(6)など数々の快挙を成し遂げ、日本バドミントンを牽引してきたエース。14年トマス杯ではトップシングルスとして世界一に貢献。
「グリップエンドのふくらみが大事」
――グリップテープはタオル派ですか?
ずっとタオル派。これは親(両親ともバドミントンプレーヤー、母・よし子さんは全日本チャンピオン)の影響です。でも、練習だったらウエットも使いますよ。嫌じゃないですか、タオルだけだと。
――というと?
タオルグリップって、しっかり気持ちが入っていれば――試合のときはもちろん気持ちが入っているから、そういうときはいいけど、パウダーをつけないといけないじゃないですか。それを練習でもいちいちやるのは…(苦笑)。たまには簡単に、軽く、ラケットを握りたい日もあるので。
――テープの巻き方でのこだわりは?
最初に巻かれているのをはがして、アンダーラップを必ず巻いてからテープを巻きます。アンダーラップがないと、外すときにくっついちゃうので。
――すごくきれいに巻いていますね。
いまみんなこんな感じで巻いていませんか? でも自分もマネから入っていて、このグリップエンドの上まで巻ききらないやり方は、タフィー(インドネシアの元スター選手)のマネなんです。タフィーは上から巻いていたけど、自分は下(グリップエンド側)から巻いています。グリップエンドのふくらみをつくりたいので。これも親の影響で、(ふくらみを)しっかりつくりなさいよっていわれて。大事なところだと思っています。同じように巻いているつもりなんだけど、持ちやすい・持ちにくいも出てきますし。
――新しいタオルグリップに変えるタイミングは?
試合になると汗がすごいから、1試合で変えないとダメです。本当だったら、何回もパウダーつけると持ちやすくなってくるんですけど、汗ですぐに滑っちゃうので。
――色は黄色ですが?
そうですね。なんだかんだで、選んでいいよといわれたら黄色ですかね。でも黒しかなかったら黒を使いますよ。試合のときは黄色が多いけど、練習のときはそうでもないし。あまりこだわりはないですよ、グリップには(笑)。
――でも田児選手といえば以前、自分が見ていないところでほかの人がグリップを握ったのを、その後自分が握ってみてわかったという話もあるじゃないですか。
(埼玉栄の)合宿のときの話ですね。そのときは、たまたまわかったんじゃないですか(笑)。
――グリップを含めたラケットへのこだわりはありますか?
自分では――ちょっとおかしな話だと思われますけど――ラケットって会話すると思っています(笑)。運を持っているか、持っていないか、相性がいいか悪いかが絶対にある。だから、相性がいいラケットはなかなか変えないです。いま使っているのは、13年(9月)のヨネックスオープンジャパンからだから、もう2年。その前も、10年(3月)の全英から3年以上使っていましたから。やっぱり相性が合わないとダメですよね。
(構成/バドミントン・マガジン)