田児賢一
埼玉栄高卒、現NTT東日本
■インターハイ戦績
1年時〔05年〕/団体優勝
2年時〔06年〕/シングルス・ダブルス優勝
3年時〔07年〕/団体・シングルス・ダブルス優勝(3冠)
最後のIHは3冠より「悔いなくやろう」と思った
インターハイを振り返ると、1年生のときは団体戦しか出なかったけど、“先輩に迷惑をかけられない。絶対全勝していくんだ”という思いが強かったですね。2年生のときは個人戦で優勝できるチャンスはありましたが、そもそもIH個人での出場はなかったので、一戦一戦しっかり戦うことを意識して、単複で優勝できました。
3年生のときは、周りから「3冠、3冠」といわれていたけど、まずは団体戦をしっかり勝って、そこから個人戦を悔いなくやろうと思っていました。とくにダブルスは当時、松丸(一輝、現NTT東日本)と組んでいましたが、松丸は大学に進むのが決まっていたし、自分は実業団に行くというのが決まっていた。2人で出るのは最後の試合だったからこそ、「悔いなく」という気持ちが大きかったですね。
シングルスの決勝は和田(周、当時埼玉栄2年、現JTEKT)と対戦しました。ここで負けちゃうと後輩の成長を止めてしまうことになるかな、という思いもあって、しっかり頑張りました。結果的に3冠できて、よかったなと思っています。
自分たち(埼玉栄)はIHで優勝じゃなきゃダメだという学校だったけど、IHに出ることがゴールの学校もあれば、ベスト8が目標の学校もある。決勝で悔し涙を流す学校もあるし、優勝してうれしい思いをする学校もある。いろいろな選手がいて、いろいろな学校があって、それぞれ3年間という期間を頑張るわけです。
でも、IHで勝負できるのは、いいものを持った2年生が少しで、本当に勝負できるのはだいたい3年生じゃないですか。限られた人しか出られないわけだから、それぞれが一瞬一瞬を大事にしてほしいと思いますね。
IHには全日本総合よりも大きな価値がある
いろいろな目標を持った選手や学校がいて、それが47都道府県から集まるわけです。当たり前のことだけど、大学生や社会人はIHには出られません。でも、いま全日本総合に出ようと思ったら、頑張れば35歳でも出られるわけです。だから全日本総合とかよりも、IHのほうが大きな価値があると自分は思います。夏の甲子園もそうだし、高校サッカーの冬の選手権もそう。一瞬一瞬で数々のドラマが生まれるから、その一瞬を大切にしてほしい。みんなそれぞれ目標を持って出場するでしょうから、それに向かって突っ走ってほしいと思います。
田児賢一■Profile
たご・けんいち/1989年7月16日生まれ、埼玉県出身。14年トマス杯では日本男子史上初となる世界一に大きく貢献した日本のエース。O型。右利き。175㎝。