We Love Badminton Vol.1 小椋久美子さん

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Vol.1 小椋久美子さん

 

元日本代表選手やバドミントン経験を持つ著名人に、

バドミントンとの関わりや自身が感じる競技の魅力を語ってもらうこのコーナー。

第1回は“オグシオ”ペアとして活躍し、

現在は普及活動などを中心に

バドミントンを支えている小椋久美子さんです。

 

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「楽しい」「好き」という思いを、

ずっと持ち続けてほしい

 

――バドミントンを始めたきっかけを教えてください。

小椋 小学校2年生のときに始めたんですが、きっかけというのは、地元が川越町という人口1万人ぐらいの小さい町で、当時は(小さいうちからできる)スポーツが、バドミントンとミニバスの二つしかなくて…。四人きょうだいの姉と兄がバドミントンを始めていたんで、それについていくようになって始めました。

 

――始めてみて、どういう感想を持ちましたか。

小椋 最初の頃のことはあまりよく覚えていないんですけど、でも、とにかくすっごく楽しかったですね。練習を休むこともなかったぐらい、ホントにバドミントンが好きでした。とれない球がとれた瞬間や、相手のコートに決まった瞬間がすごく気持ちよくて。楽しい、面白いなって思いながらやっていました。

 

――小さい頃、違うスポーツもいくつかやっていたと聞きましたが。

小椋 スポーツは水泳と、5年生ぐらいのときに合気道をやっていました。あとは、地域の人たちとキックベースボールや学校で休み時間にサッカーやったりもしていましたね。ちゃんと習っていたのは、水泳と合気道ぐらいで、それ以外はほとんど趣味というか、楽しくやっていた感じです。

 

――いくつかやっていたなかで、どうしてバドミントンを続けていくことになったのでしょう。

小椋 たぶん、自分に合っているというのはあったと思います。何より楽しかったですね。やめたいと思ったことも、1回もないですし。

 

――そうなんですね!

小椋 やっぱり、さっきいった、相手のコートに決まった瞬間がすごく気持ちいいなあと感じながらやっていたので。楽しさだけじゃなくて、バドミントンの競技が持つ魅力にも結構ひかれていたんだと思いますね。

 

――相手のコートに決まったときというのは試合のことだと思いますが、やはり試合のほうが楽しかった。

小椋 圧倒的にそうでした。最初の頃って一人でポンポンと羽根打ちしたり、シャトル拾いだったり、本当に基礎的なことばかりやって、なかなかコートに入れないケースが多いんです。それで、ようやくコートに入ったと思ってもフットワーク練習…という感じで、私はそういうことがあまり好きじゃなかったんです。でも、私が通っていたスポーツ少年団は練習があるたびに、最後はみんなで試合をしていました。その試合が、とにかく楽しかったですね。

 

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“オグシオ”としてトップレベル活躍するだけでなく、バドミントンの魅力を多くの人々に広めた(左が小椋さん、右が潮田玲子さん。写真は07年の全日本総合)

――中高校生時代は全国大会でも結果を残しきて、その後もトップレベルの活躍を続けてこられました。そのなかでも同じ楽しさ、魅力を感じていたのですか?

小椋 やっぱり大人になればなるほど、単純な魅力だけではなくなりますね。たとえば、さきほどいったみたいに相手のコートに決まった瞬間、もちろん爽快感はありますけど、経験を重ねていくにつれて「バドミントンって奥深いなあ」と思うようになりました。

一つのショットにしても、「ああ、こういう打ち方があるんだな」とか「こう打てばこう飛んでいくんだな」とか、そういうことを考えるのがすごくおもしろくなってきました。あとはやっぱり、駆け引きのスポーツなので、相手と駆け引きをしながら、自分で考えながら試合を作っていくのも魅力だと思います。自分はダブルスプレーヤーだったので、スピード感があるなかで、いろいろと駆け引きするのがおもしろかったです。だから、魅力やおもしろさは少しずつ変わっていきましたね。

 

――ダブルスの話が出ましたが、小椋さんはシングルスでも全日本総合で優勝しています。それぞれの魅力をあげていただけますか。

小椋 シングルスとダブルスと比べると、シングルスは一人でゲームをやるので、自分一人の考えでゲームメイクできるおもしろさがあります。あとは“だまし合い”みたいなところもあるんで、フェイントをかけたり、自分の“間”で相手を引っかけるようなショットを出したり、いろいろな展開でゲームを作っていけるという点でも、すごくおもしろかったですね。

ダブルスは、二人で考えないとゲームを作ることができません。自分が「こうしたい」と思ったことだけではうまくいかないんです。その代わり、自分のプレーがうまくいかないときにパートナーにカバーしてもらったり、もちろん、自分がパートナーをカバーすることもあります。そういう、二人で試合を作り上げていくという点でダブルスはおもしろいと思っていました。

 

――2010年に引退して、いまは普及活動をされていますが、講習会などで教えることによって感じたバドミントンの魅力はありますか。

小椋 いまはホント、純粋に「楽しいな」と思って教えることができています。現役のときは、つねに勝負をしなきゃいけないような…、練習も気が抜けないし、とにかく試合のための練習をしていて、いつも気が張っている感じでした。

楽しさというよりも、どちらかというと、勝負をしなきゃいけなかったり、自分の「仕事」だと思っている部分もあったり、だからこそやらなきゃいけないと思ったり…。わざと自分でアドレナリンを出して頑張っていた部分もありました。いま講習会などで教えている感覚とは全然違いましたね。だからいまは純粋に「楽しいなあ」、純粋に「ああ、バドミントン好きだなあ」って思いますね。

 

――最後になりますが、サイトを見ている方にメッセージをいただけないでしょうか。まずはプレーヤーの皆さんに対して、お願いします。

小椋 いまもお話ししたように、いまはすごく純粋にバドミントンが楽しいし、好きだと思っていますが、現役のときも、その感情はずっと持っていました。もちろん、「しんどい」とか「つらい」と思うこともいっぱいありました。でも、小学生のときから本当に楽しいと思ってバドミントンをやってきて、その気持ちがずっと自分のなかにあったから、つらいときも「ああ、私、やっぱりバドミントン好きだなあ。これ頑張らないと、ここで乗り越えなきゃダメだなあ」と思えたんだと思います。

支えになったのは、初心に戻ったときの“楽しさ”でした。楽しさいからこそ、「次はこういうふうに頑張ってみよう」と自分でいろいろと考えることができました。

 

――最初に感じた「楽しさ」がエネルギーになっていた。

小椋 バドミントンをするうえで、勝つことや自分の実力をつけて強くなることも、もちろん大事ですけど、でも根本的な楽しさや、好きだという思いを持ち続けることで、いろいろと乗り越えられることもあるんじゃないかなと思います。初心者の方、上級者の方、それこそトッププレーヤーをめざしている方でも関係なく、そういう思いは持ち続けてほしいですね。

 

――バドミントンを見るのが好きな人に対してもメッセージをいただけますか。

小椋 最近は世界で活躍する日本人選手も昔に比べてすごく増えましたし、世界のレベルも拮抗してきているので、見ていてもすごくおもしろいと思います。もちろんテレビでもいろいろな情報は入ってきますが、私はぜひ生で見てもらいです。プレーの迫力や選手の表情や気迫、もっといえば、駆け引きや細かい技術まで見ることができるからです。実際に試合会場で見ていただいて、もっともっとバドミントンのファンになっていただけたらなって思います。

――ありがとうございました。

 

(構成/バドミントン・マガジン編集部)

 

おぐら・くみこ◎1983年7月5日生まれ。三重県出身。四天王寺高を卒業後、三洋電機に入社し、02年全日本総合シングルス優勝。その後は潮田玲子とのペアで全日本総合5連覇、07年世界選手権3位、08年北京五輪8強などの好成績を残した。“オグシオ”の人気は社会現象にまでなり、国内のバドミントン人気をリードする存在でもあった。10年に現役を引退。現在はジュニアを中心としたバドミントンの普及活動を行なっている。

投稿日:2015/06/21
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