年間12大会で行なわれるバドミントンの世界最高峰トーナメント・スーパーシリーズ(SS)。2015年3月の全英OPから開幕し、6月のインドネシアOPをもって半分の第6戦が終了した。
SSは12大会の成績によって、12月に行なわれるスーパーシリーズファイナル(UAE・ドバイ)の出場権が得られるため、各選手は各大会での上位入賞が大きな目標となる。
また、今年はリオ・デ・ジャネイロ五輪の出場権を争う五輪レースが5月から始まっており、選手はこれまで以上に勝敗へのこだわりが強い。どの試合も気が抜けない、緊迫した内容が各大会で繰り広げられている。
ここでは、上半期に行なわれたSS各種目の動向について追ってみよう。
今回は男子シングルスについて紹介する。
諶龍、桃田賢斗が好調をキープ!
SS6戦中、半分の3大会で優勝を飾ったのが中国のエース・諶龍だ。全英、マレーシア、オーストラリアを制し、現在は世界ランキング1位を保持している。次いで2大会で優勝を果たしているのが日本のトップをひた走る桃田賢斗。4月のシンガポールOPでSS初優勝を飾ると、先週のインドネシアOPで2回目の優勝を果たした。しかもインドネシアOPはSSプレミアと格付けが高い大会で、世界ランキングポイントも高ポイントを獲得している。
現在はこの2選手が輝きを放っているが、そのほかにもコンスタントに上位に進んでいる選手がいる。それがデンマークのWエースでもあるヤン・O・ヨルゲンセンとビクター・アクセルセン。ヨルゲンセンは今年の優勝こそないが、準優勝2回、3位2回の好成績。アクセルセンも準優勝2回(インド、オーストラリア)の内容で、インドOPでは1回戦で林丹(中国)を下して勢いに乗っていた。欧州選手は毎年上位に入るような選手が1〜2人はいるが、調子の波が激しく取りこぼしが多い印象。しかし、2選手に関していえば、アジア選手にも簡単には負けないねばり強さがある。今後もアジア優勢のなかで、ヨーロッパ勢力の意地を見せてくれそうだ。
このほかでは、昨年から急成長を遂げているインド選手の活躍が目立つ。インドOPで地元Vを達成したスリカンス・K.や、カシャップ・パルパリがその代表格だ。スリカンスは昨年の中国OP優勝を皮切りに、SSやグランプリゴールド(GPG)の上位に顔を出すようになった。パルパリも今年のSSで4強2回(シンガポール、インドネシア)の好結果を出しており、ほかの世界ランカーにとっては侮れない存在となっている。
これまで男子シングルスは中国を中心に、韓国、インドネシア、マレーシア、デンマークらが上位を占めていたが、日本以外にもインド選手の台頭が男子シングルスを大きく活性化させている。過去には世界チャンピオンも輩出しているインドの旋風は、まだまだ続くはずだ。
新勢力が勝ち上がる一方で、不振続きなのがかつてのバドミントン王国・インドネシアだ。タウフィック・ヒダヤットという天才が第一線を退いたあとは、その後継者がなかなか出てこない。世界ランク上位のトミー・スギアルトや実力者のシモン・サントソもいるが、インドネシア協会との折り合いがつかず、5月のスディルマン杯にも出場していない。シモンはス杯1カ月前のシンガポールOPで4強に進出したが、インドネシアのレキシー・マイナキー監督は、国内の代表合宿に参加しないシモンの態度が「将来のジュニア選手にとって悪い影響を与える」として選出しなかったようだ。
クラブチームの影響が強いインドネシアでは、選手と協会の揉め事はよくある話だが、国の威信をかけて戦う五輪レースを前に、暗雲が立ち込めているのが現状だ。
また、同じくバドミントンが人気スポーツでもあるマレーシアも、男子シングルスの成績は伸び悩んでいるが、リー・チョンウェイの復帰によって活気を取り戻しつつある。ドーピング問題で長らく国際舞台から遠ざかっていたチョンウェイだが、5月から出場解禁になると、ス杯で早くもチームの8強に貢献。プレーに問題はなく、このまま以前のように勝ち続ければリオ五輪出場も可能になるはずだ。
次回は女子シングルスを紹介します。