東京2020オリンピックにて、バドミントンは、男女ともにシングルス、ダブルスでメダル量産が期待されていたが、思わぬ苦戦が続いていた。そうしたなか、混合ダブルスで銅メダルを獲得したのが、渡辺勇大と東野有紗の“ワタガシペア”だ。スマイルスポーツマガジンのインタビューで、中学時代からペアを組み、お互いのことを知り尽くす二人の強さの秘密に迫った。
“残り物には福がある”と言ったら失礼だろうか?
渡辺選手と東野選手が初めてペアを組んだのは、富岡第一中学校時代のこと。元々はお互いが望んだわけではなく、先に強い選手同士がペアになっていくなか、選ばれずに残った“余り者同士”で組むことになったのが始まりだった。
余り者ペアでありながら、「最初からコンビネーションは合っていた」(東野)というくらい相性は良かった。
ペア結成後、着実に力をつけていった二人は富岡高校時代には世界ジュニア選手権で3位入賞。この結果を受けて、東野選手は「勇大くんと一緒にもっと上を目指していきたいという気持ちになりました」と、大きな手応えを感じていた。
国際大会で結果を残し、これからというときに転機が訪れる。1年先輩の東野選手が高校を卒業して実業団入りしたことで、一時的にペアを解消することになったのだ。このとき、ペア継続を強く願う東野選手に対して、渡辺選手は高校卒業後の進路を迷っていた。
「先輩からお誘いいただいていましたが、自分のこの先の人生を考えたとき、バドミントン第一でいくか、引退後のことも考えてやっていくのかで迷っていました。最後の最後まで悩みましたが、やっぱり先輩と一緒に成長していきたい、先輩とでないと世界で勝てないと思って、同じチームに行くことを決めました」(渡辺)
中学時代からのペアとはいえ、話さなければわからないこともある。お互いを深く知ることでパートナーへの信頼も深まり、それはそのままペアの強さへとつながった。
「ペアとして大事にしているのは、相手の意見を受け入れること。最初から否定はせず、まずは勇大くんの言っていることを“やってみよう”と尊重するので、ケンカになることもありません」(東野)
「言葉に出すというのは大切ですよね。自分の中で抱えていても何の解決にもならないですから。僕らは言わなくていいことまでお互いに言い合っているので、それがうまくいっている秘訣だと思います」(渡辺)
初めて組んだときから阿吽の呼吸だったコンビネーションは、お互いを理解し合うことでさらに磨かれ、2019年の世界選手権では3位入賞。そして記憶に新しい東京2020オリンピックでは、銅メダルを獲得。光が当たりづらかった混合ダブルスで、一躍注目を集める存在になっていった。
3位決定戦後のインタビューで東野選手は「今まで勇大くんとやってきて一番幸せな日です」と涙を流した。“余り者同士”で始まった歩みを思えば、その言葉も頷ける。しかし、2人にとって本当に一番幸せな日はまだ先にある。
「この先にもっと幸せな日がくるように頑張ります」(東野)
「最高の思い出を更新しましょう」(渡辺)
これまでがそうだったように、まずは目の前の目標を一つずつ叶えていくこと。そして、その先に見据えるのは、2024年のパリオリンピックだ。表彰台の一番上に立ち、一番輝くメダルを手にしたとき、ワタガシペアにとって「一番幸せな日」がやってくる。
こちらのインタビューのほか、世界を相手に苦戦が続く中で訪れた転機や、お互いのプレースタイルへの印象など、カラー2ページにわたるインタビューは、6月1日に(公財)東京都スポーツ文化事業団が発行した『スマイルスポーツマガジンVol.90』に掲載されています。
取材・文・写真/スマイルスポーツマガジン編集部
わたなべ・ゆうた
1997年6月13日生、東京都出身。富岡高校時代に高校選抜、インターハイで単複2冠を獲得。2017年、全日本総合選手権大会において遠藤大由とのペアで男子ダブルス優勝、東野有紗とのペアで混合ダブルス優勝の2冠。東京2020オリンピックでは東野有紗とのペアで混合ダブルス銅メダルを獲得した。
ひがしの・ありさ
1996年8月1日生、北海道出身。富岡高校3年時に高校選抜女子ダブルスで優勝。渡辺勇大との混合ダブルスでは、東京2020オリンピックでの銅メダルをはじめ、全英オープンで3度(2018・2021・2022)の優勝を飾っている。
スマイルスポーツマガジンのインタビュー特別編!
渡辺勇大選手と東野有紗選手の相性の良さが伝わる、息の合った○×インタビュー動画と読者の皆様へのメッセージはこちら
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